2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24380103
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古谷 研 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30143548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大竹 二雄 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (20160525)
加戸 隆介 北里大学, 海洋生命学部, 教授 (40161137)
奥村 誠一 北里大学, 海洋生命学部, 准教授 (60224169)
安達 貴浩 鹿児島大学, 工学部, 准教授 (50325502)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 三陸内湾域 / 無給餌養殖 / マナマコ |
Research Abstract |
大槌湾においてカキ養殖域(O)、ホタテ養殖域近傍(S)と、養殖域から離れた対照区(C)を中心に生物・環境観測および試料の採取を2012年7月、8月、9月、11月、2013年3月に行った。7、8月は水柱が成層し、表層混合層の栄養塩はほぼ枯渇状態にあったが、それ以外の時期は表層に栄養塩が残存していた。植物プランクトン群集はいずれの観測時にも珪藻類が卓越していた。種組成は季節によって変化したが、各月における測点間の種組成の違いはほとんど認められず、湾内における海水交換により均一な組成の群集が分布すると考えられた。沈降粒子はこれまでに7月および11月の試料について解析が終了しており、7月は植物プランクトンが、11月は鉱物性と思われる粒子が相対的に多かったが、全体として不定形の凝集粒子が大量に存在し、貝類の糞あるいは擬糞に由来することを示した。炭素・窒素フラックスは全体に7月よりも11月が大きく、これは、表層付近における栄養塩環境の好適化によって一次生産が夏季よりも増加したことを反映したものであった。沈降粒子のC/N比は測点、調査時期によらずほぼ一定であり、植物プランクトンと底泥の平均的な値の中間であった。これは、植物プランクトンが直接捕集されていたことに加えて貝類の糞等が大半を占めていたことを反映したものと考えられた。またCにおける沈降粒子は顕微鏡下における組成やC/N比においてO、Sと違いが認められず、これは沈降粒子が水平的な移流により輸送される過程が沈降粒子の分布において重要である可能性を示唆する。 二枚貝養殖棚下に設置した生け篭内でナマコの成長を調べた結果、最初の1か月目では体重が減少したが、その後当初体重を上回る成長を示し、貝類の糞粒が餌料として好適であることを示しており、二枚貝類とマナマコとの複合養殖実現の可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた大槌湾における生物・環境の観測、セディメントトラップによる沈降粒子束把握、底質の性状把握、マナマコの摂餌生態解析が順調に進み、また、大槌湾の物理・生物モデルの改良は予定以上に進捗している。ただし、下記のように、マナマコの餌料同化解析の実験は終了したが、その試料の炭素・窒素安定同位体解析試料は未分析のままである。以上から上記のように判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
現場観測については、平成24年度に行った項目について、観測事例を積み重ねるとともに、湾内に流入する栄養塩量の把握を行い、物質循環のモデル解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年後半から発生した世界的なヘリウム供給不足に伴い、マナマコの餌料同化解析等のための炭素・窒素同位体分析が年度内にできなかったが、平成25年度には供給状態が好転すると予想されていることから、平成25年度分の試料とともに分析を行う。
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Research Products
(4 results)