2012 Fiscal Year Annual Research Report
行動計測・数理モデル・耳石化学分析によるクロマグロの分集団構造の解明
Project/Area Number |
24380104
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北川 貴士 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (50431804)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 幸彦 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (80345058)
白井 厚太郎 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (70463908)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | クロマグロ / 回遊 / 分集団 / 耳石 / 数理モデル / 小型記録計 / 酸素安定同位体 / 水産学 |
Research Abstract |
クロマグロThunnus orientalis耳石の酸素安定同位体(δ^<18>O)について,産卵海域の海水δ^<18>Oが本種耳石に反映されるかについて天然個体を用いて検証するために,太平洋・日本海で生まれの当歳魚を入手し,東京大学大気海洋研究所にて,入手した個体から耳石を摘出した。本年度は耳石の中心核を削りだしてのδ^<18>O分析を可能にするための手法を確立させた。また,分集団構造の識別が可能な耳石微量元素の分析を行うため,LA_ICP-MS,NanoSIMSによる準備も進めた。本種の行動生態との比較を行うために,2012年5月29日に沖縄県石垣島沖で小型記録計を装着したキハダThunnus albacaresの放流調査を行った。11個体放流し,これまでに2個体が再捕され,回収された記録計から水温・体温・水深データをダウンロードした。また,同属メバチThunnusobesusの既往データを解析し,本種との行動を比較した。クロマグロは水温より体温を持つ内温性魚類として知られる。 そのため,本種耳石のδ^<18>Oに及ぼす体温生理の影響について次年度以降飼育実験を行うことで検討するため,長崎県対馬市浅茅湾の養殖用生簀を使用しての準備を始めた。日本海発生群の年級群への寄与率を推定するため,観測データに同化した高解像度再解析データFRA-JCOPE2の流動場データを用いて,西部太平洋の発生海域から日本海への輸送過程,日本海発生群の輸送過程を予測する予備的実験を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不漁で本種に記録計を取りつける調査ができなかったが,熱帯に生息する同属キハダで調査を行い,本種と生態の比較を行うことができた.また、耳石分析・シミュレーションでは手法を確立しつつあり、次年度への足掛かりを作った。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き,産卵海域の海水δ^<18>Oがクロマグロの耳石に反映されるかについて天然個体を用いて検証する。流動場データ(数理モデル)を用いて,日本海発生群の資源全体への寄与率を推定する。実験検証も行うため,野外飼育の準備もすすめていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度は耳石分析のためのクロマグロ標本の採集が不十分であったため、標本購入やそれにかかる費用としに使用していくつもりである。数理モデル構築のための費用などにも充てる
|
Research Products
(4 results)