2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24380113
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
渡部 終五 北里大学, 海洋生命科学部, 教授 (40111489)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 温度適応 / ミオシン / 分子ネットワーク / 転写因子 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
魚類の温度適応に関わる分子ネットワークの探索を目的として、次世代シーケンサを用いてメダカの温度馴化に伴って発現変動する転写産物の網羅的解析を行った。10および30℃で30日以上飼育したメダカを実験に用いた。これらのメダカより筋肉を採取し、全RNAの抽出およびmRNAの精製を行った。次に、Ion Total RNA-Seq Kit v2を用いて、cDNAライブラリーを作製し、転写産物の網羅的解析を行った。塩基配列の解析にはIon Torrent PGMシークエンサを用いた。塩基配列解析の結果、10および30℃に温度馴化させたメダカ筋肉において解析された塩基数は、それぞれ629.25および534.08Mbであった。さらに、リード数はそれぞれ5,364,077および4,675,370で、平均リード長はそれぞれ117および114塩基であった。また、CLC Genomics Workbenchを用いたde novoアセンブリングを行った後、10および30℃に温度馴化させたメダカ筋肉で発現している遺伝子のGene Ontology解析を行ったところ、両者に目立った差はみられなかった。一方、発現変動遺伝子を個々に調べたところ、ミオシン重鎖遺伝子群の発現変動が顕著であった。このほか、30℃馴化メダカにおいては、高温耐性ニジマスに発現が多い、HSP70およびdnaJ homologの発現増大がみられた。これに対して10℃馴化メダカでは、カルボン酸レダクターゼやデヒドロゲナーゼなど代謝関連の酵素発現量の増大がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代シークエンサを用いた温度適応関連分子に関する解析は1頂調に進展している。小型魚類飼育水槽施設も平成24年度中に導入することができたため、トランスジェニック魚を用いたミオシン重鎖遺伝子と連動して発現変動するMEF2アイソフォームの遺伝子上流域の機能解析も進展中である。
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Strategy for Future Research Activity |
筋肉のみならず、環境温度の変化にいち早く晒されることが予想される鯉、さらには様々な組織からの温度情報が集結、統合、発信される脳を対象に、温度依存的に発現する遺伝子転写産物の網羅的解析を進める。また、ゲノム配列が決定されているメダカの利点を生かし、RNA-Seqデータの解析方法も検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していなかった設備不足により、トランスジェニック魚を用いたMEF2アイソフォームの遺伝子上流域解析は平成24年度当初から開始できず、約57万円の次年度使用額を生じた。平成25年度は当該助成金を合わせて、同解析を詳細に行う予定である。
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Research Products
(2 results)