2012 Fiscal Year Annual Research Report
日本のリステリア症原因食品の分子疫学的探査と危害防除および発症機構に関する研究
Project/Area Number |
24380115
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
木村 凡 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (50262340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 肇 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 助教 (40413116)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 食品微生物 / 食品衛生 |
Research Abstract |
本研究では日本の一部水産加工品において汚染が確認されたリステリア菌について、その病原性の解析と疫学的解析に用いる手法の開発、および食品中での制御法に関し研究を進める。24年度の研究においてはこのうち、日本の臨床株、海外の臨床株、食品分離株の菌株間の際を解析する際に必須となるDNAタイピング法として、複数の病原遺伝子を用いたMLST解析、ならびに全血清型対応の近縁菌株解析用tandem repeat解析法を確立し、論文発表を行った。現在、本法を用いて臨床株、食品分離株の解析を行っており、近日中に日本における臨床株のタイピングデーターから日本のリステリア症の実態が明らかになると考えられる。 また、米ぬか抽出成分であるフェルラー酸を利用し、食品中のリステリア増殖を制御する試みも行った。過去に、申請者らは、既存添加物の抗酸化剤であるフェルラー酸がリステリアを含めて数種の食中毒菌の増殖制御左用があるという学術的に興味深い現象を見出した。更に、フェルラー酸によるリステリアの増殖に対する最小増殖抑制濃度を明らかにし、また、ネギトロなど一部の水産食品での効果を確認できている。本年度はこの薬剤を用い、スモークサーモン、チーズ、ネギトロ用マグロなどの食品にリステリア菌を人工的に接種し、フェルラー酸の添加効果により増殖が抑制可能か検討を行った。引き続き薬剤等の組み合わせにより、さらに効果の高い増殖抑制法の開発を検討している。 さらに、腸内へ本菌が定着、感染を引き起こす際にどのような遺伝子群が関与しているのか解析するリアルタイムPCR法についても検討を行い、接着因子であるinlAの発現解析法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画書の通りに研究が遂行し、3つのテーマのうち2件については、国際誌への論文発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度においてはおおむね研究計画書の通りに研究が遂行し、次年度においても順調な遂行が予想される。
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