2013 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギーを自給する農山村とエネルギー・リローカル化の計画・設計手法の開発
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24380129
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小林 久 茨城大学, 農学部, 教授 (80292481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 誠 茨城大学, 地球変動適応科学研究機関, 准教授 (10376585)
岩渕 和則 北海道大学, ・大学院農学研究院, 教授 (00193764)
後藤 眞宏 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所, エネルギーシステム統括上席研究員 (20370596)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 再生可能エネルギー / 分散型エネルギーシステム / 需給協調 / 地域コミュニティ |
Research Abstract |
①「需要モデル」:聞き取り調査,伝票等の資料収集と中間期(5月~6月上),夏季(7月中~8月中)の家庭電力消費の計測を実施し,期別時間別の電力と熱の「需要モデル」を作成した。調査協力者に対し,「需要モデル」に関する説明のための「ワークショップ」を開催した。成果の一部を論文として公表した。 ②「ポテンシャル・需要評価」:太陽エネルギ,小水力,バイオマスを対象に,ポテンシャルの推計手法を確定し,さらに需要に対する過不足を分布として表現する手法を検討して,エネルギー自給の水準を分布図として表す手順を確立した。また,小水力開発における計画プロセスを確定し,必要な水利調整・コミュニティとしての合意形成の内容,関係者および手順を検討した。 ③「エネルギー需給マッチング用資源技術DB」:現地調査に基づいて抽出した電源技術(太陽光発電,小水力発電),熱源技術(太陽熱,バイオマス燃焼),エネルギー変換(低温バイナリ発電,ヒートポンプ,電熱など),蓄エネルギー技術(蓄電,貯湯など)について,基本仕様や単位量当たりのエネルギー・フローなどに関するデータ,情報を収集した。 ④「需給協調システム検討」:海外事例等を参考に,エネルギーの代替・抑制・融通等の可能性・受容性などに関する研究や調査をレビューし,アンケート調査等に基づいて,需要側制御(デマンドレスポンス)の可能性を分析して,導入可能な方策について考察した。成果を「Applied Energy」国際会議論文として投稿し,受理された。また,コミュニティレベルの地域エネルギー事業の運営体制や可能性を検討し,対象地については地縁組織の活用が有効であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計測,聞取り調査,資料収集を終了し,電力と熱(暖房,給湯,厨房)の需要に関する実データを整備し,地域コミュニティの協力者に対して,地域に賦存する資源によるエネルギー利用の可能性を説明することができた。さらに,これらのデータを分析し,冬期,中間期,夏期別にそれぞれの時間別「需要モデル」を計画どおり作成することができ,成果は論文として公表できた。また,小水力のポテンシャルを見積もるための手法を確定させて推計結果をGISデータとして整備するとともに,太陽光発電,太陽熱供給,バイオマス利用可能量をGISデータとして整備した。このデータと作成した「需要モデル」を用い,再生可能エネルギーによるエネルギー自給域の抽出手法を検討して,手順を確立することができた。需要側制御の可能性に関しては,停電許容に関するアンケート調査に基づき,デマンドレスポンス導入の可能性を検討し,その成果のいい恥部を論文化した。 ただし,電源技術,熱源技術,エネルギー変換技術,蓄エネルギー技術に関するDB整備は,データの収集・整理にとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に,作成した「需要モデル」とアンケート調査の結果から取りまとめたデマンドレスポンスの導入可能性に関する分析の精緻化をおこなって,論文を作成してエネルギー政策関係の国際学術誌へ投稿する。第二に,動力需要に関するデータを収集し,農山村地域のエネルギー需要の実態を明らかにした上で,再生可能エネルギー自給域の抽出を試みる。 再生可能エネルギーの開発に関しては,とくに小水力の具体的な開発計画と発電計画を作成することで,計画手順を確定させるようにする。 これらの分析や検討結果に基づき,エネルギー自給が成り立つ地域の選定,選定した地域におけるエネルギー自給のための調査,計画手法を体系化する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
校費等を使用する出張の延長で,現地調査することが重なり,当初計上していた旅費を使用しないことがたびたびあったため,繰越分が生じた。 現地における連続観測や現地調査の補助,作業依頼などに使用する予定である。
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