2013 Fiscal Year Annual Research Report
積雪寒冷地における農業水利施設の長寿命化に向けた診断と対策に関する研究
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24380132
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
緒方 英彦 鳥取大学, 農学部, 准教授 (90304203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兵頭 正浩 鳥取大学, 農学部, 助教 (60611803)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 農業水利施設 / 開水路 / 積雪寒冷地 / 凍害 / 超音波法 / 共鳴振動法 / 一次共鳴振動数 / 動弾性係数 |
Research Abstract |
本研究課題では,積雪寒冷地における開水路及び水路橋のコンクリート側壁に特徴的に生じる凍害劣化について,局所的な劣化発生機構の解明,凍害診断手法の開発,長寿命化対策の提案を行うための研究を実施する。平成25年度は,凍害診断手法である超音波法の精度向上,共鳴振動法による凍害診断手法の開発,注入工法による凍害劣化範囲の評価に関する研究に取り組んだ。その結果,以下の成果を得た。 1.表面法による超音波法の精度に影響を及ぼす要因の検討を北海道美唄市の北海幹線用水路における現地調査・試験で行った結果,コンクリート表面の粗度よりも,凍害劣化の一形態として表層部に生じる薄肉の層状ひび割れが直接的に影響を及ぼしていることを明らかにした。 2.コンクリート側壁を対象にした共鳴振動法による凍害診断については,小型起振機を駆動端子として対象部材に振動を入力し,ピックアップで測定される振動波形から一次共鳴振動数を求める手法を検討した。その結果,直接法(駆動端子とピックアップを部材対面に設置),表面法(駆動端子とピックアップを部材同一面に設置)の有効性を円柱・角柱コンクリート供試体で確認するとともに,表面法の実用性を青森県弘前市のコンクリート開水路壁体に適用した結果から明らかにした。 3.超音波法の表面走査法,共鳴振動法ならびに電磁波レーダ法の測定結果を組み合わせた現地非破壊試験による動弾性係数の評価フローを作成し,模擬コンクリート壁体および青森県弘前市のコンクリート開水路壁体での検証結果を踏まえて,その実用性を明らかにした。 4.注入工法については,ひび割れの連続性が確保される目地付近及び側壁天端付近では凍害劣化範囲の評価が可能であることを北海幹線用水路のL型ブロックでの試験から明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現地非破壊試験である超音波法の精度向上及び共鳴振動法による凍害診断手法の開発に関する検討は,当初予定どおりに実施できており,成果も得られている。また,得られた成果を拡張し,超音波法の表面走査法,共鳴振動法ならびに電磁波レーダ法の測定結果を組み合わせた現地非破壊試験による動弾性係数の評価フローの作成,平成26年度に着手予定であった注入工法による凍害劣化範囲の評価も行えたことから,本研究課題は当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に収集した凍害劣化診断に係わる現地調査・試験のデータは,次年度に実施する凍害劣化が生じたコンクリート側壁の一時的延命対策及び抜本的長寿命化対策の検討における前提情報として利用する。補強対策としての注入工法については,平成25年度に注入工法による力学性能改善効果に係わる研究の一部に着手できたことから,この結果を踏まえて,凍害劣化を抜本的に改善し長期供用性を確保するための工法の開発を中心に平成26年度の研究に取り組む。
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