2014 Fiscal Year Annual Research Report
イムノバイオティクスの抗炎症性腸管細胞イントラネットの分子制御機構とその応用戦略
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24380146
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北澤 春樹 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10204885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 忠夫 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00118358)
麻生 久 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50241625)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 畜産学 / 免疫学 / 微生物 / 食品 / 飼料 / 動物 / プロバイオティクス / イムノバイオティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の背景と目的】人畜共通の炎症性腸疾患は、罹患率と治療用薬剤投与の急増により、甚大な経済的損失と健康危害を導き社会的大問題となっている。我々は、食経験豊富な腸管免疫活性型乳酸菌「イムノバイオティクス」の抗炎症能力を見出し、世界に先駆けて腸管パイエル板モデル培養系を構築した。本研究では、イムノバイオティクスによる家畜の健全育成とヒトの健康生活の飛躍的向上を目指し、構築したモデル培養系の発展的利用により、イムノバイオティクスによる抗炎症性腸管細胞イントラネットの分子制御機構を解明する。本年度は、これまでの研究成果を基礎としてさらに研究を進め、以下の成果が得られた。 【研究成果】前年度までの研究で、末梢血単核球から樹状細胞の分化誘導を行い、腸管パイエル板由来樹状細胞サブセットとの比較解析を行うことができた。本年度は、機構解明に有用な樹状細胞における、イムノバイオティクス認識と取り込みに着目した発展的評価を行い、以下の新たな知見が得られた。 1)イムノバイオティクスの樹状細胞による認識性: TLR2高認識性イムノバイオティクスは腸管由来および血液由来の樹状細胞に対して共に高い付着性を示し、樹状細胞がTLR2を介してイムノバイオティクスを認識することが示唆された。 2)イムノバイオティクスの樹状細胞による取り込み解析: パイエル板または末梢血由来の樹状細胞を蛍光ラベルしたToll様受容体(TLR)2高認識性イムノバイオティクスで刺激し、フローサイトメトリーおよびレーザー顕微鏡により解析したところ、イムノバオティクスの認識性並びに細胞内部への取り込みを評価することができた。以上の結果から、ブタ樹状細胞による認識性と取り込み指標をイムノバイオティクスの評価基準として導入することができ、抗炎症性評価系と合わせることでより詳細な抗炎症性腸管細胞イントラネットの分子制御機構の発展的解明につながるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
イムノバイオティクスのブタ樹状細胞による認識ならびに取り込みについて評価することができ、これまでに構築している抗炎症評価系と融合させることにより、抗炎症性腸管細胞イントラネットの分子制御機構の発展的解明が可能と大いに期待される。昨年に続き、原著論文の他、総説等も積極的に公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに計画以上の進展と成果が得られたことから、全体として、当初の計画を短縮し完了させたいと考えていたが、研究過程で、さらに発展的評価が可能となったため、計画以上の成果が得られるようさらに研究を進めたい。
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Causes of Carryover |
昨年度同様予定していた研究経費の物品費に関して、特定試薬に対する特価により経費節約となった。また、当初予定していた謝金についても、試験サンプルをある程度まとめて解析することができたため節約につながった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度節約できた経費は次年度の経費と合わせ、発展的評価の遂行と学術論文等の積極的な公表にあてることで、当初の計画以上の成果につなげたい。また、これまでも計画以上の進展と成果が得られており、全体として、当初の計画を短縮し完了させたいと考えていたが、研究過程で、さらに発展的評価が可能となったため、計画以上の成果が得られるようさらに効果的な使用計画のもとに研究を進めたい。
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