2014 Fiscal Year Annual Research Report
低栄養による繁殖機能低下を仲介するエネルギーセンサーの解明
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24380157
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前多 敬一郎 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (30181580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平林 真澄 生理学研究所, 行動・代謝分子解析センター, 准教授 (20353435)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 上衣細胞 / 遺伝改変動物 / エネルギーセンシング / 細胞内カルシウム測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生殖を制御する新規エネルギーセンサー細胞の同定を行うため、その候補細胞のひとつである後脳の上衣細胞に焦点を当て、実験を行っている。本年度は、前年度に作出した上衣細胞にレポーター遺伝子の蛍光タンパク質を発現するマウス(Vim-Venusマウス)を用いて上衣細胞のエネルギーセンシングにおける役割を検討した。Venus 蛍光を指標として上衣細胞を回収し、上衣細胞に発現する遺伝子解析を行った結果、上衣細胞のマーカーであるヴィメンチン遺伝子(Vim)のmRNA発現に加えて、AMPK(AMP-activated protein kinase:AMP活性化プロテインキナーゼ)遺伝子の発現が検出された。免疫組織化学により、上衣細胞はすべてAMPKタンパクを発現していた。AMPKは人から酵母まで真核細胞に高度に保存されているセリン/スレオニンキナーゼ(セリン/スレオニンリン酸化酵素)の一種で、細胞内のエネルギーのセンサーとして重要な役割を担っていると考えられている。したがって、上衣細胞が低栄養シグナルを感知する細胞内シグナリング経路として、AMPKを用いている可能性が示唆された。さらに、Venus陽性の上衣細胞をin vitroでAMPK活性化剤であるAICAR (5-amino-1-β-D-ribofuranosyl-imidazole-4-carboxamide)に暴露したところ、細胞内カルシウムの顕著な上昇が認められた。またAICARをラットの第4脳室に投与したところ、血糖値にはまったく影響をあたえることなしに、血中LH濃度を抑制することが明らかとなった。これらの結果から、低血糖は、上衣細胞にあるAMPKを活性化することで感知され、性腺刺激ホルモン放出ホルモン分泌を抑制し、性腺機能を抑制していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたVim-Venusラットを作製することができ、それを用いて上衣細胞が低血糖を感知していることを明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
もう一つの課題であった上衣細胞特異的なセンシングタンパクKO動物の作製については、受精卵に導入する遺伝子コンストラクトの作製が遅れている。今後、同動物の作成に集中する予定である。
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Research Products
(2 results)