2013 Fiscal Year Annual Research Report
母子境界領域のサイトカインの免疫応答:胎盤特異情報付加再構築組織による検討
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24380159
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
木曽 康郎 山口大学, 獣医学部, 教授 (10142374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下部 健 山口大学, 獣医学部, 准教授 (20319536)
加納 聖 山口大学, 獣医学部, 准教授 (40312516)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 胎盤 / 栄養膜 / 流産モデル / p53 / オートファジー |
Research Abstract |
本研究の目的は,胎盤における免疫回避機構、特に母子境界領域におけるサイトカインの動態と役割を明らかにすることである。そのため,自然流産および実験流産モデルにおいて,生殖能力,妊娠中の子宮NK細胞/前駆細胞を含む免疫担当細胞の形態・動態,子宮内サイトカインの変化,MHC発現動態,CD46とCD55発現の有無を調べた。これと平行して,着床誘導因子の同定を遺伝子および蛋白質の両レベルで実施した。 これまでに,MHCクラス1発現の異なる雄雌交配による自然流産モデルにおいて,非流産部位と比較して,Th1/Th2比が有意に高く,さらに,IGFsも有意に高く,一方,TGF-bは有意に低かった,IGFsもTGF-bも脱落膜細胞から分泌されるが,IGFsは胎盤形成初期に,特に着床に重要とされるが,過剰な発現は着床阻害を誘導する。一方,TGF-bは脱落膜化誘導に必須の因子である。これらは互いに逆の働きをし,IGFsはTGF-b分泌を抑制することから,本モデルでは有意に高いIGFsがTGF-b分泌を抑制したことを示した。 PlGFは有意に低かったが,VEGFは顕著な変化を見せなかったことは,流産部位では,PlGFの主要産生細胞である栄養膜が既に機能傷害を起こしていることによるが,VEGFは栄養膜だけでなく,脱落膜細胞および血管内皮が分泌することによるものことを示した。これは,PDGFが流産部位で有意に高かったことからも支持される。すなわち,本モデルにおいて,Th1シフトした着床部位は補体やアデプシンの沈着により,栄養膜機能傷害,さらには脱落膜内血管において血栓が形成され,局所での高血圧状態を招き,胎盤形成不全を起こしたことを明らかにした。 さらに,オートファジー関連遺伝子MAPLC3を調べると,3種のホモログが知られているが,各々の妊娠ステージ,さらには部位により,各発現が異なった。これは,妊娠ステージにより,部位で起こるオートファジー,あるいはアポト-シスが異なることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いくつかのサイトカインの動態を明らかにし,流産の解明に一歩近づいたが,遺伝子発現の変化まで解析できていない。いくつかの遺伝因子に絞って,アポトーシスおよびオートファジーに関する解析を続ける予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
流産モデル,ならびに絶食モデルでの妊娠マウスを用いて,栄養膜および脱落膜に発現するアポトーシスおよびオートファジー関連遺伝子の動態・変化を調べる。現在,MAPLC3とp53に絞ってきたが,mTORを加え,妊娠ステージを増やし,検討予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた器機の購入が必要なくなった。 次年度,新しい観点からの実験が必要との判断で,その研究費のために使用する。
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