2014 Fiscal Year Annual Research Report
レセプター遺伝子導入マウスを利用した抗ウマヘルペスウイルス1型戦略
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24380162
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 享史 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 教授 (90261338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 宣哉 北里大学, 獣医学部, 教授 (20302614)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヘルペスウイルス / ウマ / レセプター / トランスジェニックマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
ウマヘルペスウイルス1型(EHV-1)レセプターであるウマMHCクラスⅠ分子をEHV-1標的細胞に強発現するトランスジェニックマウス(Tgマウス)を作製し、新たなEHV-1感染モデルとして確立する目的で、平成26年度は以下の実験を行った。 ユビキタスなプロモーターを有する遺伝子発現ユニットCAG-A68-B2Mを導入したTgマウス(A68-B2Mマウス)のうち、導入遺伝子に由来するmRNAを複数の組織中に高発現するラインを選別し、EHV-1(Ab4株、HH1株)の感染実験を施行すると共に、それらマウスの末梢血単核球における導入遺伝子産物(蛋白)の発現を、フローサイトメトリーによって解析した。その結果、肺に導入遺伝子を強発現する1ラインにおいて、高いレベルのEHV-1ゲノム複製が肺に認められた。一方で、いずれのラインにおいても、脾細胞と末梢血単核球の細胞表面にウマMHCクラスⅠ分子の発現は検出されなかった。従って、本研究によって作製されたA68-B2Mマウスは、初感染巣である肺においてEHV-1高感受性を示すことが示唆されたが、末梢血単核球においてウマMHCクラスⅠ分子の発現が認められないことから、自然宿主である馬で認められる細胞随伴性ウイルス血症と、末梢血単核球におけるウイルス潜伏感染を惹起することは困難であると推察された。 また、組織特異的なウマMHCクラスI分子の発現を可能とするCAG-loxP-Stop-loxP-A68-B2M ユニットを導入したTgマウス(LSL-A68-B2Mマウス)のうち、肺、脳、脾臓に導入遺伝子の発現が確認された2ラインに対し、BALB/cマウスをレシピエント系統としたバッククロスを開始し、継続中である。 以上に加え、インドネシアに生息するオオコウモリから分離した新規アルファヘルペスウイルスの解析を行い、報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子組換え実験の大臣確認に予想以上の時間を要したため、平成24年度のTgマウスの作出開始に遅れが生じた。その影響でバッククロスがやや遅れているが、それ以外はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
末梢血単核球にウマMHCクラスⅠを発現するA68-B2Mマウスが得られなかったため、LSL-A68-B2Mマウスに対してCre組換え酵素によるT細胞特異的な導入遺伝子発現を行う。得られたマウスにウイルスを持続感染させ、再活性化を誘導し、解析する。
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Causes of Carryover |
委託先機関における遺伝子組換え実験の大臣確認に時間を要したため、初年度においてTgマウスの作出に遅れが生じた。これによってTgマウスの選別とバッククロスに必要な消耗品費を平成25年度以降に持ち越したため、当該助成金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験の進行に伴って当該助成金は速やかに使用される。また、当初の研究実施計画に基づき平成27年度の研究が実行され、同年度に計上された経費が使用される予定である。
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