2013 Fiscal Year Annual Research Report
イヌジステンパーウイルス宿主域拡大因子の解明とその制御
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24380166
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
前田 健 山口大学, 獣医学部, 教授 (90284273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下島 昌幸 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 室長 (10422411)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | イヌジステンパーウイルス / 野生動物 / サル / フェレット / モノクローナル抗体 / ワクチン |
Research Abstract |
1)高知県では2013年から2014年にかけて野生動物間でCDVの再流行が確認された。分離されたウイルスの遺伝子を解析した結果、流行しているCDVが2系統に分かれていることが明らかとなった。2)群馬県のイヌ科野生動物のCDV抗体保有状況を調査した結果、数は少ないが群馬県の野生動物にはCDVが現在は流行していないことが示された。3)和歌山県からは2007年の流行以前のアライグマの血液(溶血)の入手に成功し、それを解析した結果、和歌山県には2007年以前はCDVの流行がなかったことが確認された。また、2012年にはタヌキで流行の兆しが観察された。4)トラでのCDV流行が確認された動物飼育施設に、緊急避難的に犬用のCDVワクチン接種を試みた結果、副作用もなく非常に高い抗体価の誘導が観察され、ワクチンの有用性が示された。5)CDVへの感受性が低いCRFK細胞にDC-SIGNとDC-SIGNRを発現させ、CDVの感受性を比較した結果、CDVの感染が促進されていた。両蛋白がレセプターとして機能している可能性が示唆された。6)CDVに対するモノクローナル抗体を用いて、ウイルス抗原検出用のサンドイッチELISAの樹立を試みた結果、感度には改善の余地はあるもののウイルス抗原の検出に成功した。7)フェレットを用いてKDK-1とサル由来のCDV#7株の感染実験を試み、両ウイルスともフェレットに致死的であることが示されたが、CDV#7株はKDK-1株と比較して病原性が強いことが確認された。8)国内のサル332頭のCDV抗体保有状況を調査した結果、1頭にCDVに対する抗体価が証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大型ネコ科動物に犬用のワクチンが安全で有用であることが証明できた。これはCDV感染が脅威となっている動物飼育施設へ大きな貢献となるであろう。 CDVのレセプターの一つとしてDC-SIGNとDC-SIGNRの可能性が示されている。CDVの第3のレセプターの可能性が示された。 モノクローナル抗体を用いたCDVの診断系が確立されつつある。改良の余地はあるが、安定したCDVの診断が可能になる。市販へ向けた検討が待たれる。 国内のサルにもCDVが感染していた可能性が示唆された。国内に存在するCDVも非常に宿主域が広いことが確認された。 フェレットはCDV実験感染に高感受性であるため、我々が分離した様々なCDV株の病原性の評価が可能になる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)国内の野生動物における更なるCDV感染状況の調査を継続する。2)国内のイヌにおけるCDV感染状況を実施する。3)ベトナムのイヌにおけるCDV感染状況を調査する。4)作成した9種類のモノクローナル抗体の性状解析を実施するとともに、中和回避変異体を作製し、モノクローナル抗体の認識部位を同定する。5)DC-SIGNとDC-SIGNRのCDVのレセプターとしての可能性をより詳細に研究し、ウイルスのレセプター認識部位の同定を行う。6)我々の分離株、作製した変異株の病原性をフェレットを用いて評価し、必要であればイヌでの感染実験を行う。7)CDV抗原検出系の感度が高くないことから、より感度の高い検出系への改良を試みる。
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Research Products
(6 results)