2012 Fiscal Year Annual Research Report
選抜育種による北海道産マルハナバチの高受粉能力系統の作出
Project/Area Number |
24380178
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
野村 哲郎 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (50189437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 純一 京都産業大学, 総合生命科学部, 准教授 (40530027)
土田 浩治 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (00252122)
佐藤 正寛 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所, 上席研究員 (70370658)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 受粉昆虫 / マルハナバチ / 選抜育種 / BLUP法 / 統計遺伝 / 分子遺伝 |
Research Abstract |
1.選抜基礎集団の造成 平成24年5月と6月に北海道道央および道東地域で、選抜基礎集団を造成するために約100匹のエゾオオマルハナバチの女王蜂を採集し、京都産業大学の実験室内でコロニーの形成を試みた。十分な数のコロニーが得られなかったが、採集場所、採集時期、コロニー形成のための技術については次年度における選抜基礎集団の造成に向けて有用な知見が得られた。 2.選抜手法の開発 動物育種の分野で用いられてきた選抜手法であるBLUP法を半倍数性の性決定様式を持つマルハナバチの育種に利用できるように拡張・修正した。まず、BLUP法で必要とされる分子血縁行列の計算に際して、雄を2倍体の完全な近交個体とみなす方法と半倍数性の遺伝を2倍体生物におけるX染色体上の遺伝様式とみなす方法を取り上げ、計算効率などを比較した。その結果、後者の方法が計算の煩雑さを軽減でき、動物育種で開発されてきた計算プログラムを利用する上でも有効であることが明らかになった。また、マルハナバチにおいては働き蜂(ワーカー)が一部の雄をする場合や女王蜂が複数の雄と交尾する場合もあることから、父系が特定できない場合の分子血縁係数行列の計算方法についても検討した。 3.分子遺伝マーカーの開発とコロニー内の血縁関係の推定 セイヨウオオマルハナバチで設計されたプライマー123個から40個を選び、エゾオオマルハナバチにおける増幅を調べた。その結果、9個のプライマーで増幅が認められ、それらのうち6個で変異が確認できた。変異が確認できたプライマーを用いて、コロニー内の血縁関係について調査し、エゾオオマルハナバチでもワーカーによる雄生産や女王蜂の複数回交尾が起こっており、これらをBLUP法による選抜においては考慮する必要があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
選抜手法の開発、分子マーカーを利用したコロニー内の血縁関係の推定は順調に進展したが、本研究の基幹部分である選抜基礎集団の形成が十分に達成されなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
選抜のための基礎集団の形成と選抜の実施を優先して行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
選抜のための基礎集団の造成に必要な野外個体の採集を次年度に集中的に行う必要が生じたため、本年度の助成金の一部を次年度へ繰り越した。次年度は、この繰越金で北海道への複数回の採集の旅費およびコロニー形成や維持のための人件費として使用する。
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Research Products
(1 results)