2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外基質の堅さの感知に関わる分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
24380185
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木岡 紀幸 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90234179)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 細胞接着 / 細胞外マトリックス / 生体分子 / シグナル伝達 / コラーゲン |
Research Abstract |
ヒトを含む動物の体は、細胞だけでなくそれを取り巻く細胞外基質(コラーゲンなど)から構成されている。最近、細胞は細胞外基質の物理的な性質-堅さ-を感知(メカノセンス)し、それに基づいて自らの運命を決定していることがわかってきた。たとえば多能性幹細胞は細胞外基質が堅いと骨細胞へ、柔らかいと脂肪細胞へ分化する。細胞は、細胞外基質との接着装置(細胞接着斑)を介して細胞外基質を引っ張り、堅さに釣り合う細胞内張力を知ることで細胞外基質の堅さを感知すると考えられているが、実際の感知に関わる分子、および感知した結果を化学シグナルに変換する仕組みについては不明である。本研究では申請者がこれまで研究してきた細胞接着斑タンパク質ビンキュリンとその結合タンパク質ビネキシンに着目し、これらの仕組みを明らかにすることを目的としている。平成25年度は、多能性幹細胞が細胞外基質の硬さに依存して脂肪細胞に分化することを明らかとした。また、この分化にはビンキュリンが関与していることをビンキュリン発現抑制細胞、ビンキュリン再発現細胞を用いて明らかとした。また、ビンキュリンとビネキシンの結合が細胞外基質の硬さによって調節されていることを繊維芽細胞を用いて示すことに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度にはビンキュリンとビネキシンの結合が細胞外基質の硬さによって調節されていることを示すなど、メカニズムの解明が大きく進展した。これに加え、間葉系幹細胞株においてもビンキュリンの役割が明らかになりつつあるなど、計画以上に研究が進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
細胞外マトリックスの硬さを感知する詳細なメカニズムについて明らかにするため、多様な変異体を用いた解析を行う。また、分化についても複数の観点から解析を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
論文のReviseのための実験が多く、当初の予定の実験とは異なった。一方で論文のRevise実験から新たな知見が得られ、研究が大きく進展した。 前年度までの結果を踏まえ、より研究を発展させることを考えている。具体的には、硬さセンサーの様々な変異体が硬さ感知に与える影響を調べる。さらに脂肪細胞の分化に加え、他の細胞分化系も利用して、ビンキュリンやビネキシンの硬さ感知における役割を明らかにしていく。このような発展的な研究を遂行するため、多量の消耗品を必要とし、この費用に次年度使用額をあてる。
|
Research Products
(8 results)
-
-
[Journal Article] Interaction of the vinculin proline-rich linker region with vinexin alpha in sensing extracellular matrix stiffness.2014
Author(s)
Yamashita, H., Ichikawa, T., Matsuyama, D., Kimura, Y., Ueda, K., Craig, S. W., Harada, I. and Kioka, N.
-
Journal Title
Journal of cell science
Volume: 127
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-