2012 Fiscal Year Annual Research Report
新たに発見した「制御性抗体」による過剰免疫応答調節の分子機構と難病制御
Project/Area Number |
24380187
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河本 正次 広島大学, 先端物質科学研究科, 准教授 (90294537)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 免疫抑制抗体 / 免疫難病制御 |
Research Abstract |
研究代表者はこれまでに免疫応答を負に調節する「制御性抗体」の生理機能解明に向けたツールとして著明な免疫抑制活性を有する抗ピストンH1抗体(anti-H1抗体)を作製するとともに、これがT細胞に直接作用してT細胞抗原受容体(TCR)架橋刺激に伴う増殖活性化反応を鎮めることを見いだしている。しかしながら、anti-H1抗体による免疫抑制活性発現の起点となる標的抗原は不明であり、これを突き止めることが本抗体による過剰免疫応答調節の分子機構解明に向けた最初の課題である。 そこで本年度は、T細胞をまずモデルとして当該責任抗原の単離・同定を試みた。マウス初代T細胞をソースとしてanti-H1抗体により認識される交差反応抗原をプロテオーム解析により検索したところ、複数の抗原分子種が同定された。これらの候補抗原の発現をT細胞においてRNAiによりノックダウンしたところ、一部の抗原においてanti-H1抗体の免疫抑制活性が減退している所見が観察された。 また、本探索試験と平行してanti-H1抗体と高反応性を示し、かつ同抗体に対する免疫抑制感受性も亢進したマウスT細胞亜株を複数回のcell sortingにより樹立し、本亜株と元の親T細胞株から得た表面抗原プロテオミクスのdifferential解析による標的抗原同定も進めた。その結果、興味深いことに上記初代T細胞にて得られたものと同一の抗原分子種が本系においても同定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
制御性抗体が認識する標的抗原の同定作業が当初想定していた範囲の進捗状況にて順調に進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
制御性抗体の活性化T細胞に対する免疫寛容誘導機構の全容を解明すべく、同抗体による標的抗原を介した副刺激を起点として、当該シグナルを伝える細胞内の分子イベントにつき、更なる追求を続ける。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度研究費では順調に研究が進展したことに伴い物品費(消耗品費)に残額が生じたほか、出張(情報収集)の取りやめに伴い旅費に残額が生じた。これら両経費はそれぞれ、次年度の物品費(消耗品費)ならびに旅費(情報収集および成果発表)として翌年度の研究費と合わせて使用する計画である。
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Research Products
(2 results)