2013 Fiscal Year Annual Research Report
銅ー有機ニトロキシド型ハイブリッド触媒によるアルコール空気酸化反応の開発
Project/Area Number |
24390001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩渕 好治 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20211766)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 空気酸化 / アルコール酸化 / 酸化触媒 / 銅ニトロキシド / 不斉酸化 |
Research Abstract |
まず、常温・常圧の空気雰囲気下でアルコールの空気酸化を実現する銅ー有機ニトロキシド型ハイブリッド型協奏触媒システムにおいて、そのニトロキシド部近傍の立体因子がアルコール酸化触媒活性に及ぼす影響を精査した。当研究室で開発した一連の有機ニトロキシドを用いて構造活性相関を検討した結果、(1)有機ニトロキシド部位近傍の立体障害が小さくなるほど第2級アルコールの酸化が効率的に進行する一方、第1級アルコールの酸化では急激に反応効率が低下する、(2)有機ニトロキシド部位近傍の立体障害が大きくなるほど、第1級アルコールの酸化効率が向上する一方、第2級アルコールの酸化効率が低下することが判明した。立体的にコンパクトな有機ニトロキシドを用いた場合に第1級アルコールの酸化が停止する原因を探るべく、反応副生物を詳細に調べたところ、O-アシル化ヒドロキシアミンが含まれていたことから、触媒サイクルで生成する第2級ヒドロキシアミンがアルデヒドとアセタールを生成後、このものが酸化されてO-アシル体となって不活性化されるためであることが判明した。 一方、本ハイブリッド触媒システムをアルコール不斉酸化反応に展開するべく、α-アミノ酸由来のキラル構造単位を1位側鎖に有するアザアダマンタン型ニトロキシドを種々合成して、ラセミ第2級アルコールの速度論的分割を検討した。その結果、最大で60%eeの光学純度をもったキラルアルコールを与えるキラル有機ニトロキシドを獲得することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルコール基質に存在する官能基と立体構造に基づいて、これを効率的に酸化するための銅塩およびリガンド選択に関する基本ガイドラインを策定できた。また、不斉酸化についても触媒デザインのための有用な手掛かりを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
銅ー有機ニトロキシド型ハイブリッド触媒の反応機構モデルを構築し、これよりさらなる触媒効率向上と不斉反応の選択性向上のための論理的アプローチを図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請時に購入を計画していた備品を別予算で購入できたため、助成金として繰り越した。 前年度の検討で明確になった問題を解決するため、この繰り越し分を試薬・リガンド購入に充てて検討範囲を拡張して、本研究の完成を目指したい。
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