Research Abstract |
1.Scytonemin及びその類縁体の合成研究 シアノバクテリアの一種であるScytonemaの葉鞘から単離されたシクロペンタ[b]インドール-2(1H)-オン二量体アルカロイド,scytoneminは,脂溶性の紫外線吸収色素で抗酸化作用や抗炎症作用を示すことに加え,抗腫瘍活性を示す.そこで,天然物並びにそのアナログ合成を初期目標に研究を行った.その結果,アレニルアルキンを用いる分子内Pauson-Khand型反応とその後の変換により,scytoneminのインドール部の窒素原子を炭素原子に置き換えたアナログの合成に至った. 2.KopsihainanineAの合成研究 KopsihainanineAは,中国海南省のKopsiahainanensisの葉と茎から単離構造決定された新規6/5/6/6/6員環構造をもつ五環性イシドールアルカロイドであり,アセチルコリンエステラーゼ阻害活性を示す.本天然物の更なる薬理活性の調査のためには,全合成による安定供給が必要と考えられる.今回ラセミ体での全合成を初期目標とし研究を行った.その結果,市販のインドールから,辻アリル化やBischler-Napieralski反応等を用いる各種変換を経て,(±)-kopsihainanineAの全合成を達成した. 2,Fusicoccane型ジテルペン骨格の効率的構築法の開発 Fusicoccane類は5/8/5員環骨格をもつジテルペンで,その多くは興味深い生理活性をもつ.しかしながら,8員環をはじめとする中員環構築は,今なお挑戦的な課題である.今回,本法を天然物合成に応用する初期段階として,側鎖に6員環を有するビスアレン体を用いたロジウム(1)触媒による分子内Pauson-Khand型反応を行なった所,所望の環化反応が進行し,対応する6/8/5員環の三環性化合物が効率よく得られることを見出した.
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