2012 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン含有ナノカプセルの開発:人工膵臓へのアプローチ
Project/Area Number |
24390006
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安齋 順一 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (40159520)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 勝彦 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教 (80400266)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ナノカプセル / 交互累積膜 / インスリン |
Research Abstract |
はじめに、インスリンを含有するナノカプセルを作製する際のテンプレートとして使用する炭酸カルシウム微粒子の合成方法の検討を行った。その結果、炭酸ナトリウムまたは炭酸アンモニウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を等量混合することにより、直径が5-10nm程度の炭酸カルシウム微粒子が合成できることがわかった。溶液の濃度、混合速度と攪拌の程度、混合時間、などの合成条件をほぼ最適化することができた。また、一方の溶液にインスリンを添加することにより、炭酸カルシウム微粒子にインスリンが封入されることも確認できた。炭酸カルシウム粒子中に多量のインスリンを封入するための合成条件は未確立なので、次年度も引く続き検討を行う。次に、微粒子表面への高分子交互累積膜の被覆条件の検討を行った。この際のテンプレートとして、合成した炭酸カルシウム粒子および市販のポリ乳酸微粒子を用いた。炭酸カルシウム粒子の表面へ各種の合成高分子電解質を交互累積膜として被覆する手順をほぼ確立することができた。被覆した炭酸カルシウム粒子を中性のEDTA水溶液で処理することにより、炭酸カルシウムが溶解して中空のカプセルを調製することができた。この際の手順と条件についてもほぼ確立することに成功した。また、ポリ乳酸微粒子の表面に合成高分子とインスリンを交互累積膜として被覆する方法についても検討し、インスリン被覆微粒子の作製に成功した。この微粒子は、弱酸性の水溶液中ではインスリンを放出することが明らかになった。インスリンの制御放出系を作製する上で、有用な材料となることが示唆された。当初からの計画であるフェニルボロン酸ポリマ-と組み合わせることにより、グルコース応答系へと展開するものと期待されるので、引き続き検討を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血糖値の上昇により自発的にインスリンを放出するナノカプセルを開発するために必要なインスリン封入ナノカプセルのテンプレート(微粒子)の合成、およびインスリンの封入法を確立した。また、ポリ乳酸を用いたインスリン封入微粒子も作製した。これらのことから、研究計画はほぼ1順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ミクロカプセルの調製方法がほぼ確立されたので、今後はミクロカプセルへのグルコース応答性の付与とその物性解析を中心的に検討する。また、ポリ乳酸粒子の利用も有効であることが判明したので利用を推進する。さらに、直鎖ポリマーに加えてデンドリマーの使用も検討課題とする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
助成金の計画的な使用に努力したが、予想以上に少量の使用物品で研究が進展したことにより当該助成金が発生した。翌年度は、使用する薬品類が多彩になるなど物品費用が必要になると思われるので、これらに使用する予定である。
|