2013 Fiscal Year Annual Research Report
転写・翻訳/体内動態/細胞応答の三元制御に基づくサイトカイン遺伝子治療の最適化
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24390008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高倉 喜信 京都大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (30171432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 元也 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40273437)
高橋 有己 京都大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (00547870)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遺伝子治療 / サイトカイン / 融合タンパク質 / RNA干渉 / プラスミドDNA |
Research Abstract |
IFNγは免疫調節作用や細胞増殖抑制作用を有するサイトカインであり、癌免疫療法に使用されてきた。これまでに、IFNγ遺伝子治療に関する研究において、CpGモチーフ数を削減したpCpGベクターを用いることで持続的なIFNγ遺伝子発現が得られ、結腸癌細胞を静脈内投与することで作製した肺転移モデルマウスにおいて高い治療効果が得られることを報告してきた。しかしながら、同種の結腸癌細胞を皮内に移植することで作製した固形腫瘍に対してはIFN-γの遺伝子導入による抗腫瘍効果はほとんど認められなかった。腫瘍組織へ浸潤・集積するマクロファージ(tumor associated macrophage; TAM)が、腫瘍組織における免疫抑制環境の誘導や血管新生の促進および抗ガン剤耐性の獲得に重要な役割を果たすことが明らかとなってきている。結腸癌細胞の固形腫瘍モデルにおけるIFNγ抵抗性の獲得に関しても、TAMがIFNγの直接的な癌細胞への抗増殖・殺細胞作用や間接的な抗腫瘍免疫応答の誘導を抑制している可能性が考えられた。そこで本研究では、固形腫瘍モデルでのIFNγに対する抵抗性におけるTAMの役割を解明するとともに、腫瘍組織中のTAMを除去することによるIFNγの抗腫瘍効果の増強を試みた。結腸癌細胞の腫瘍組織におけるTAMを免疫染色法で検出したところ、多数のTAMが存在していた。全身のマクロファージ、特にTAMを効果的に除去可能な薬剤であるポリエチレングリコール(PEG)修飾クロドロネート封入リポソーム(PEG-CL)を投与することでTAMを除去可能であった。また、PEG-CLによりTAMを除去することで、結腸癌細胞の腫瘍組織におけるIFNγの抗腫瘍効果が増強された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年は、TAMがIFNγの癌遺伝子治療の治療効果に及ぼす影響に焦点を当てて研究を行った。その結果、TAMはIFNγの抗腫瘍効果に抑制的な作用を有すること、TAMを除去することでIFNγの抗腫瘍効果を改善可能であることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、IFNγ発現プラスミドの最適化と、IFNγタンパク質の構造を設計することで、IFNγ遺伝子治療の最適化を図る。また、TAMによる影響が示唆されたことから、TAMの効果的な除去あるいは制御方法の開発についても検討する。
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Research Products
(3 results)