2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24390014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
倉田 祥一朗 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (90221944)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自然免疫 / cGMP / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
近年、自然免疫系が、感染症のみならず、当初その関連性が予想されることもなかった、慢性炎症疾患や、ガン転移、生活習慣病などとも深い関わりがあることが示されてきている。したがって、それらの疾患の理解と、それを標的とした創薬を考える際には、自然免疫系の理解が不可欠である。研究代表者は、ショウジョウバエの遺伝学を利用した網羅的解析から、自然免疫系を制御する新規受容体Gyc76Cを同定した。Gyc76Cは受容体型グアニル酸シクラーゼであり、Tol1受容体とは独立して機能するものの、cGMP産生を介してTol1受容体の下流に位置するdMyD88依存に抗菌ペプチドの産生などの液性免疫を誘導する。そこで、本研究では、自然免疫系を制御するこの新規cGMP経路の制御機構を明らかにすることを目的とした。加えて、同じGyc76CがcGMPに依存しない経路で細胞性免疫応答を誘導することから、その分子基盤をも明らかにすることにした。 本年度は次のように研究を実施した。ショウジョウバエDL1細胞を用いて、dMyD88依存の抗菌ペプチド産生が、DG2の過剰発現により増強されることを確認した。そして、このDG2によるdMyD88依存の抗菌ペプチド産生の増強にDG2のリン酸化活性が必要であることを、リン酸化活性に必要なアミノ酸を置換した変異体DG2を用いて示した。dMyD88のC末端側には、cGMPキナーゼによりリン酸化を受けるコンセンサス配列が存在しており、DG2が直接dMyD88をリン酸化し、dMyD88からのシグナルを活性化する可能性が高いと予想したが、dMyD88のリン酸化を受けるコンセンサス配列は必要ないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度初めに提出した交付申請書に記載した研究実施計画はすべて達成されているから。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度にdMyD88がDG2の標的因子でないことが示唆されたので、これまでの研究推進方策に従い、DL1細胞を用いてDG2によりリン酸化される因子の同定を行う。さらに、Gyc76Cが活性化するcGMP非依存の経路の解明をGyc76Cと共免疫沈降する因子に着目して進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度作成したショウジョウバエ変異体が蛹期で致死となったため、その変異体を用いた解析を行えなかったため。次年度は、Gal80システムを用いて、この致死性を克服する変異体を作成する。
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