2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規抗糖鎖抗体を用いた慢性炎症性疾患における糖鎖の機能解明
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24390018
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
川島 博人 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (50260336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 康之 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (80160034)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リンパ球ホーミング / 糖鎖 / 抗糖鎖抗体 / シアリルルイスX / L-セレクチン / E-セレクチン / P-セレクチン / 炎症 |
Research Abstract |
本研究では、独自に開発した方法論により新規抗フコシル化糖鎖抗体を樹立するとともに、それをプローブとして用いて慢性炎症性疾患における糖鎖の機能を解明することを目的とする。平成25年度は、以下の2項目について重点的に研究を進めた。 (1) 新規抗フコシル化糖鎖抗体の糖結合特異性の解析 平成24年度に得られた新規抗フコシル化糖鎖抗体の結合特異性を明らかにするために、同抗体の様々な糖鎖合成酵素遺伝子導入株および様々な糖転移酵素遺伝子欠損マウスの組織への反応性を解析した。さらに、Glycan Arrayを用いて同抗体のより詳細な糖結合特異性の解析を行った。その結果、新規抗フコシル化糖鎖抗体がシアリルルイスXと呼ばれる特殊なフコシル化糖鎖を特異的に認識することを明らかにした。また、既報の抗シアリルルイスX抗体はヒトの組織にしか反応しないのに対し、本研究で得られた新規抗体はヒトとマウスの双方に反応することを見出した。このことから本研究で得られた新規抗体は様々なマウス炎症モデルを用いた同糖鎖構造の機能解析に有用と考えられる。 (2) 新規抗糖鎖抗体の接触性皮膚炎阻害効果の検討 オキサゾロンを用いてマウスの感作を行い、再度耳介にオキサゾロンを塗布することで耳介腫脹反応を惹起し、新規抗フコシル化糖鎖抗体を感作段階および惹起段階にわけて投与し、それぞれの効果を調べた。その結果、いずれの段階に抗体を投与した場合にも接触性皮膚炎が顕著に抑制されることを見出した。3種類知られているセレクチンファミリーの分子のうち、L-セレクチンは感作段階に、P-セレクチン、E-セレクチンは惹起段階に主に関与することから、新規抗フコシル化糖鎖抗体はいずれのセレクチンの機能も効率良く阻害する活性を持つと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通りに順調に研究が進展し、抗シアリルルイスX糖鎖抗体の樹立およびその接触性皮膚炎阻害効果の検証に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通りに新規抗糖鎖抗体の樹立および接触性皮膚炎阻害効果の検証に成功したので、同抗体を用いてその他の炎症性疾患におけるフコシル化糖鎖の機能解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
同一性能の物品の場合なるべく安価なものを購入するなどの経費節減努力により、基金助成金のうち一部を次年度使用額として確保することができた。 次年度使用額を交付の決定している研究費と合わせて使用することにより、研究計画を遅滞なく遂行する予定である。
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