2013 Fiscal Year Annual Research Report
コントラストを検出する初期視覚系の階層横断的解析と再生医療への戦略的展開
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24390019
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小池 千恵子 立命館大学, 薬学部, 准教授 (80342723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 晃 立命館大学, 生命科学部, 教授 (60252491)
下ノ村 和弘 立命館大学, 理工学部, 准教授 (80397679)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 網膜 / 双極細胞 / 初期視覚系 / 視覚応答 |
Research Abstract |
本研究は、コントラストを形成する初期視覚系の解明を多角的に行うことを目的としている。本年度においては昨年度に引き続き継続している細胞特異的発現遺伝子発現の制御メカニズム解析を引き続き行った。いくつかの遺伝子において相同性の高い制御メカニズムを推定し、内在性のプロモーター配列を用いた細胞特異的遺伝子発現制御機構メカニズムの細胞レベルおよびin vivoでの検証を行っている。細胞レベルで得られている結果が組織で得られる結果と一致することの確認とそのデータに基づく改良をH26年度に行っていきたいと考えている。 視覚応答解析メカニズムに関しては、電気生理学的解析も進み、遺伝子改変動物網膜で検出された特徴的なシグナルの発生由来をほぼ同定することができた。また、得られたデータを解析するための情報処理法も確立の目処がたった。細胞の1細胞モデルと回路モデルのシミュレーション解析も進んでおり、実験結果とシミュレーションデータの比較検証を行っている。さらに、投射経路解析や行動解析に関しても結果が得られ、今後メカニズム解明へのより詳細な解析と結果の確認と検証に入る予定である。脳活動の解析結果は不明確であり、視覚刺激方法の変更を検討中である。 本年度は特に視覚応答解析装置の確立が進展した。視覚応答は主に非イメージ形成応答解析が中心に行われているが、認知を指標とした視覚イメージ解析系がほぼ確立した。まず野生型動物を用いて、既存の解析系では得ることのできなかった視覚応答の基本情報を収集しており、網膜レベルでの電気生理学解析結果と比較解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在細胞特異的発現遺伝子発現の制御メカニズム解析を行い、いくつかの遺伝子において相同性の高い制御メカニズムを推定している。内在性のプロモーター配列を用いた細胞特異的遺伝子発現制御機構の確認を行っており、細胞レベルでの結果はほぼ終えている。本年度は個体レベルでの解析系が確立したため実験自体は飛躍的に進めることができた。しかしながら発現量の問題もあり確定には至っておらず、実験系の改良も含めてH26年度には出来るだけ進展させたいと考えている。 電気生理学的な解析に関しては、多角的な解析からの検証が進み、遺伝子改変動物で見られる特徴的なシグナルの由来を特定することができたため、かなり進んだと考えている。また、得られたデータを処理するための情報処理法も確立の目処を立てることができた。さらに、共同研究である網膜モデルのシミュレーション解析について、検証の目処が立ちつつある。さらに、投射経路解析も、解析系の確立を進めることができ、H26年度にはデータを元に結論を得たいと考えている。 行動解析装置の作製は、非常に困難を要したがほぼ確立でき、得られた行動解析データの情報処理解析に移行することができた。以上より、総合すると順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞特異的発現遺伝子発現メカニズム解析を押し進める予定である。組織レベルでの解析系は確立できたが、得られた結果から手法の改良の必要性があり、さらに解析を進めていきたいと考えている。 視覚応答解析メカニズムに関しては、電気生理学的解析により得られた遺伝子改変動物網膜で検出された特徴的なシグナルの情報処理解析を終了させ、シグナルの発生メカニズムの解明を行う予定である。さらに網膜発生段階と機能との点からの解析も進めていきたい。手法の確立が進んだ投射経路解析に関しては、データを元に結論を得る予定である。 行動解析に関しては、確立できた視覚応答解析装置を用いた野生型マウスを用いた視覚応答の基本情報解析を終了し、遺伝子改変動物を用いた解析を行い、さらに、様々な視覚イメージを用いた解析を開始していきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入予定の機器類を別予算から購入できることになったことと、予定していなかった装置が必要となり次年度の購入を見込んでいること、次年度作製予定の遺伝子組み換えマウス作製の費用が足りなくなる恐れがあったため、次年度に繰り越した。 必要であったが購入できていなかった、マイクロスライサーの購入および、遺伝子組み替えマウスの作製費、行動解析装置の追加に宛てる予定である。
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Research Products
(8 results)