2013 Fiscal Year Annual Research Report
がん微小環境のメタボリックストレス応答を標的とする難治性がん治療のための創薬研究
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24390029
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
永澤 秀子 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90207994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 健介 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (00311796)
平山 祐 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (10600207)
森重 健一郎 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90283788)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 創薬化学 / がん微小環境 / 低酸素 / 低栄養 / ERストレス / 血管新生阻害 / がん幹細胞 / 鉄代謝 |
Research Abstract |
がん微小環境のストレス応答として、低酸素及び低栄養ストレス応答系のHIF-1シグナル並びにUnfolded protein response(UPR)シグナル系の活性化に着目したルシフェラーゼアッセイ及び低栄養特異的細胞毒性を指標として、ビグアニド誘導体の構造活性相関研究を展開してきた。一昨年に得られた候補化合物は、リード化合物であるphenforminの活性を大きく上回ったが、その後、さらなる活性の増強に成功した。本化合物は、低酸素によるHIF-1タンパク質の発現誘導を阻害し、グルコース飢餓によるGRP78の発現誘導も阻害することがわかった。さらに、強い血管新生阻害作用が認められた。そこで、本化合物を基盤とするアフィニティプローブの設計・合成に着手したところである。また、in vivo転移抑制作用及び抗腫瘍活性を評価するため、いくつかの有望な候補化合物のスケールアップ合成をおこなった。 新規シードの天然物からの探索を目指して、半枝蓮抽出物の分離精製を行い、水溶性または脂溶性の異なる種々の画分の精製を完了した。一方、これまでのルシフェラーゼアッセイの他に、新しい効率的な評価系として、がん微小環境ストレスに応答して異なる色の蛍光蛋白質を発現する細胞株の樹立にむけて、ベクターの作成を開始した。 卵巣癌および肝臓癌細胞を用いた、3次元培養法を確立し、がん微小環境モデルとしてスフェロイドを作成することができるようになった。N-oxide系低酸素トキシンや上記の微小環境モジュレータを用いて、スフェロイドにおける活性の解析を開始した。この際、我々が開発したFe(II)特異的蛍光プローブにより、低酸素部位でFe(II)が活性化していることが示唆されたことから、新たにがん微小環境における鉄代謝についても今後検討する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最近ビグアニド系糖尿病薬のメトホルミンの抗腫瘍活性が注目を集めている。一方、我々は本研究で、メトホルミンより強い作用を有するビグアニド系微小環境モジュレータの開発に成功したことから、その標的分子探索を行う意義はますます高くなった。しかしながら、昨年度にバイオプローブ化の候補としていた化合物より強い活性を有する候補物質を新たに見いだしたことから、アフィニティプローブの分子設計を変更したため、予定より若干の遅れが出た。本年度にこの分子を完成させ、がん微小環境のストレスで誘導される新規標的タンパクの同定に取り組む予定である。 また、低酸素及びERストレスに応答して色の異なる蛍光蛋白質を発現する細胞株の樹立のための、ベクターの組み替えが完了していないことから、医学部森重等の協力の下、組み換え実験に熟達したスタッフ及び学生を動員して集中的に進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ビグアニド系微小環境モジュレータの標的分子の探索と作用機構解明:メトホルミンはAMPKの活性化を通して、がんのエネルギー代謝の再構築にも寄与することが示唆されている。そこで、我々の見いだした新規ビグアニド誘導体をバイオプローブとしてがん微小環境で変化するタンパク質群の中から標的分子を見いだすことができれば、初期の目的であるがん微小環境のメタボリックストレスに関与する分子が同定できると期待される。同時にトリB細胞由来DT40遺伝子ノックアウト細胞ライブラリーのうちエネルギー代謝関連遺伝子ノックアウト細胞に対する活性を調べ、作用機構の解析を行う。 in vivo活性評価:上記のビグアニド系微小環境モジュレータのうち有望な候補物質についてマウス転移モデルによる転移抑制ならびに抗腫瘍活性評価を行い、臨床適用の可能性を探る。 新規シード探索のためのスクリーニング:得られた半枝蓮の抽出画分のルシフェラーゼ活性評価を進め、活性分子を同定する。さらに、上記の蛍光タンパク発現細胞を樹立できれば、これを用いて微小環境モジュレータスクリーニングシステムを構築する。さらに、昨年度に確立したスフェロイド3D培養微小環境モデルにおけるスクリーニングも行う。 がん微小環境における幹細胞マーカー、鉄代謝および酸化ストレスの解析:スフェロイド培養系を用いて、微小環境における幹細胞マーカーの発現、最近開発した鉄(II)プローブによる鉄代謝、酸化ストレスの解析をおこない、さらに上記薬剤による変化を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
会計処理の結果生じた端数を次年度に繰り越した。 試薬等の消耗品代にあてる。
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[Presentation] Drug development targeting the adaptive responses of tumor cells to hypoxia and nutrition deprivation in tumor microenvironment2013
Author(s)
Narise, K., Okuda, K., Sakai, T., Hirayama, T., Nagasawa, H.,
Organizer
9th AFMC International Medicinal Chemistry Symosium
Place of Presentation
Taipei
Year and Date
20131015-20131018
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