2014 Fiscal Year Annual Research Report
Shiga toxin2による腸管出血生大腸菌感染症重篤化の分子機構の解明
Project/Area Number |
24390035
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
西川 喜代孝 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (40218128)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 感染症 / 腸管出血性大腸菌 / Shiga toxin / 小胞輸送 / 細胞内情報伝達 / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
1. Stx1ならびにStx2の細胞内輸送に関わる分子機構の解明 これまでに、Stx1とStx2ではその輸送経路が異なっていること、特にStx2は細胞内へ取り込まれたあと活性型となって再び細胞外へとリリースされるというユニークな輸送経路を有していることを見出している。26年度は、RNA干渉法によってRab11の2種のサブタイプ、Rab11aとRab11bをそれぞれノックダウンさせたVero cellを用い、Vero細胞にStx1ならびにStx2を取り込ませたあと、細胞内に存在しているStx(セルライセート)、ならびに細胞外へとリリースされたStx(TCA ppt)、リソソームで分解されて細胞外へとリリースされたStx(TCA sup)を定量し、Stx1とStx2の細胞内輸送におけるRab11の関与について検討を行った。その結果、Rab11bをノックダウンすると、Rab11aをノックダウンした場合よりも細胞外へとリリースされたStx2の量が有意に減少すること、すなわちSt2特異的なリサイクリング経路にはRa11bが密接に関与していることを明らかにした。
2. 細胞外に放出されるStx2の存在形態の解明 Stx2は活性型となって細胞外に放出されるが、この遊離されたStx2の毒性、形態に関して詳細に検討することが必要である。特に個体でのStx1と2の毒性の顕著な相違に、この細胞外に遊離されてくるStx2が関与しているのであれば、この点に関する詳細な検討は本研究の重要な部分を構成する。これまでに細胞外に放出されるStx2を含む細胞培養上清を回収し、この上清をゲル濾過にて分画することにより、exosome様の構造体を構成している可能性があることをみいだした。さらにvero細胞に対する毒性に関しては野生型Stx2と比較検討を行い、同等の活性を保持していること、を見出した。現在マウス個体に対する毒性試験を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度に計画申請書に記載した、1)Stx1ならびにStx2の細胞内輸送に関わる分子機構の解明、についてはStx2に特徴的な細胞内輸送経路にRab11bが密接に関与していることを示すことができた。さらにRab11bと極めて類似した構造を有するRab11aでは関与が低いことから、本経路が厳密に制御されている可能性を示すことができた。このアイソザイム間での関与の相違を示すことができたことは予想を上回る成果である。一方Rab7, 23の関与については解析が遅れている状況にあり、28年度の進展に期待が持たれる。2)細胞外に放出されるStx2の存在形態の解明、については、培養上清中に存在するStx2がexosome様の構造体を構成しているという極めてユニークな結果を示すことができた。本現象を明らかにできたことから新たな創薬の標的の同定に大きく寄与することができたと思われる。28年度に予定している、本構造体をとった場合の生体内での毒性評価が極めて重要な意味を持つことは明らかであり、その結果が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
1. Stx2特異的細胞内輸送に関わる分子機構の解明 これまでにRNA干渉法(siRNA法)によってRab11の2種のサブタイプ、Rab11aとRab11bをそれぞれノックダウンさせた場合のStx2の輸送に対する効果を検討し、Rab11bの関与が大きいことを示すことができた。しかしながら、本法ではノックダウンの効率がsiRNAのtransfectionの効率に大きく影響を受けるため、それぞれのRabを特異的に安定してノックダウンすることが困難であるという問題があった。そこで本系に加えて、新たにCRISPER/Cas9システムを導入し、安定的に各Rab11がノックアウトされた細胞の確立を試みる。Rab11の他にも、リサイクリング経路に関与しているRab7、Rab27A等についても同様の検討を行い、Stx2の細胞外への放出に密接に関係する因子を同定し、その分子機構を明らかにする。 2. 細胞外に放出されるStx2の構造に関する生化学的解析ならびに毒性評価 これまでに、細胞外に放出されたStx2がexosome様の構造体を構成している可能性があること、さらにvero細胞に対する毒性に関しては野生型Stx2と同等の活性を保持していること、を見出している。そこで、本構造体をとった場合の生体内での毒性評価をマウスを用いて詳細に検討する。さらに本構造体に関する生化学的解析を推進する目的で、LC-MSを用いた共存タンパク質に関する網羅的情報の取得を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は430円であり、年度末の時点で本研究遂行に必要な試薬の購入金額の最低限度を下回っており、次年度分と合算して使用したほうが、必要試薬を有効に購入できると判断されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度分と合算して必要試薬の購入にあてる。
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Research Products
(7 results)