2013 Fiscal Year Annual Research Report
自己溶解型マイクロニードルパッチを応用したインフルエンザ経皮ワクチン製剤の開発
Project/Area Number |
24390041
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 直貴 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (90312123)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ワクチン / マイクロニードル / インフルエンザ / 臨床研究 |
Research Abstract |
本研究課題では、独自に開発したマイクロニードルを基材とする経皮ワクチン製剤の開発に向けた基礎情報収集と基盤技術熟成を図る。また、ヒトにおける本製剤の安全性と有効性を検証する臨床研究を実施することによって、経皮ワクチン製剤の治験・製品化研究への移行期間の短縮に焦点を当てる。さらに、経皮ワクチン製剤用のアジュバントとして有望な候補物質の探索を推進し、抗原特異的IgG抗体産生(体液性免疫応答)の誘導のみならず細胞性免疫応答および粘膜免疫応答の活性化をも達成できる未来型インフルエンザ経皮ワクチン製剤の創出に取り組む。本年度は、1. 新素材マイクロニードルの物理化学的特性解析、2. 新素材マイクロニードルを用いた経皮ワクチン製剤の有効性・安全性評価、3. 経皮ワクチン製剤用アジュバントの開発、について以下の成果を得た。 1. 新たにナイロン6あるいはポリグリコール酸を素材とするマイクロニードルを開発し、それらの針部強度特性ならびに皮膚内物質送達特性を明らかにした。 2. ナイロン6あるいはポリグリコール酸を素材とするマイクロニードルにモデル抗原としてニワトリ卵白アルブミンを装填した各経皮ワクチン製剤が、優れた抗原特異的抗体産生誘導能を発揮することを実証した。また、これらの経皮ワクチン製剤が適用皮膚局所および全身性に重篤な副反応を誘発しないことを確認した。 3. CpGオリゴデオキシヌクレオチドの経皮免疫応答におけるアジュバント効果を精査するし、その作用機序の一端を明らかにした。 今後、臨床研究データの精査・解析を進めるとともに、マイクロニードルを活用した経皮ワクチン製剤の免疫応答誘導機構の解明に取り組み、得られる基礎情報から本製剤の実用化に向けた改良・改善を推進する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己溶解型マイクロニードルを用いた研究は当初の計画どおりに進捗しており、加えて、これまでの自己溶解型マイクロニードルとは構成素材ならびに抗原装填方式が異なる新素材マイクロニードルの開発をも推進している。
|
Strategy for Future Research Activity |
25年度に開発した新素材マイクロニードルに関するデータ取得・解析に取り組むとともに、マイクロニードルを応用した経皮ワクチン製剤の免疫応答誘導機構に関する基礎情報の集積と経皮ワクチン製剤用アジュバントの開発を強力に推進することで、実用化に向けた基盤技術の強化・改良に寄与する理論的根拠の充実を図る。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
直接経費次年度使用額として1,985,985円が生じたのは、購入予定であった免疫学関係試薬およびキットが在庫切れであったため、25年度内での発注・納品が不可能となったことによる。 26年度に当該試薬類を購入し、計画していた経皮ワクチンによる免疫応答誘導の機序解明と経皮ワクチン用アジュバント開発を継続して実施する。
|