2012 Fiscal Year Annual Research Report
支持細胞における脂質恒常性維持の分子基盤と生体機能
Project/Area Number |
24390047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
大和田 祐二 山口大学, 医学系研究科, 教授 (20292211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 武男 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 主任研究員 (30249958)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脂肪酸結合蛋白質 / クッパー細胞 / オリゴデンドロサイト |
Research Abstract |
脂肪酸結合タンパク(FABP)分子ファミリーは、水に不溶な脂肪酸を細胞内の標的部位に輸送して、 様々な細胞機能を発揮する。FABP分子の神経系および免疫系支持細胞における機能的意義について検証するとともに、その作用機序について検討を行った。研究成果とその意義について以下に示す。 1.FABP7(脳型FABP)が、肝ストローマ細胞の一つであるクッパー細胞に発現し、FABP7欠損マウスではアポトーシスに陥った肝細胞の食食に障害があることを発見した。さらにこの過程が、スカベンジャー受容体の発現を介して制御されることを明らかにした。この結果は、脂肪酸環境が肝臓免疫応答において主要な役割を担うクッパー細胞の極性化に影響を与える可能性を示している。 2.FABP5(表皮型FABP)とFABP7が、オリゴデンドロサイト前駆細胞から成熟オリゴデンドロサイトへの分化過程において、時間的多様性をもって発現し、各々のFABPが、オリゴデンドロサイトの分化系列において、重要な役割を担っていることを明らかにした。今後、オリゴ系細胞の脂質代謝制御を介した脱髄疾患病態の理解や治療法の開発に寄与する可能性が示唆された。 3.FABP5が、皮脂腺に非常に高い局在を示すことを明らかにした。また、ノックアウトマウスの解析から、FABP5が皮脂腺細胞の分化およびホロクリン分泌過程に関与することを突き止めた。皮脂の働きには、いまだ謎が多いが、FABP5は、皮膚の保湿や皮脂が持つ抗菌作用などに関与する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機能解析に必要な初代培養細胞への遺伝子導入法の確立が必要であるものの、おおむね当初の計画通り、成果の発表(学会および論文発表)が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画書通りに鋭意研究を推進する。特に初代培養細胞への遺伝子導入法樹立に尽力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初代培養への遺伝子導入実験に着手していないため、未使用額が生じているものの、現在実験準備が整いつつある。 次年度は、遺伝子導入実験に関連する細胞培養実験試薬等に平成24年度の未使用額を合算し、研究費を執行する予定である。
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Research Products
(8 results)