2014 Fiscal Year Annual Research Report
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24390072
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
丹伊田 浩行 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (20336671)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DNA損傷応答 / DNA複製 / チェックポイント |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳動物細胞のDNA複製は数多くの分子が時空間的に秩序だってはたらくことで正確に全DNA領域を複製する。これまでに基本的なメカニズムは解明されてきているが、DNA損傷に応答した細胞内の反応は未知の部分が存在する。我々はDNA損傷時にこれを感知し、応答反応を惹起するチェックポイントキナーゼであるATM/ATRの基質であることが示唆されているヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)、HBO1のリン酸化修飾とDNA損傷反応に関わる機構について解析を進めてきた。HBO1は複製起点に結合するORC複合体と相互作用するHATとして同定された。その後HBO1はCDT1依存的に複製起点にリクルートされ、ヒストンのアセチル化をすることでMCM複合体のローディングを促す、pre-RC促進因子であることが明らかにされた。HBO1はプロテオミクス解析により放射線照射後にATM/ATRによりリン酸化される基質であることが示唆されたが、その修飾の意義は明らかではない。我々はこの点を解明することを目的として解析を行った。その結果、HBO1のSer50, Ser53はどちらもその後にGlnと続くSQ配列であり、様々なDNA損傷ストレスによりリン酸化が亢進することを示した。このリン酸化はATMおよびATRをノックダウンすると抑制されること、またそれぞれのキナーゼの特異的阻害薬によってもリン酸化が抑制されることからATM/ATR依存的なリン酸化であることを示した。DNA損傷によりATM/ATRによりリン酸化されるためこの修飾は細胞周期進行に対して抑制的に機能すると予想し既知のpre-RC形成に関する影響を検討した。その結果HBO1のリン酸化はCDT1との結合を解除し、CDT1のPIP boxを露出させることにより分解へと導くことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始時に予測していたATM/ATRによるHBO1を介したDNA複製抑制機構の解明はほぼ達成できた。この研究の過程においてHBO1のリン酸化がユビキチン依存的分解にも重要な修飾であることが示唆され、これについても明らかにすることでより包括的な生理機構を示すことが出来ると考えているため。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度においてDNA損傷に応答したHBO1の分解機構を明らかにしたいと考えている。DNA複製に関して促進するHBO1の分解が細胞の増殖抑制に如何に関与しているのかをHBO1欠損細胞をゲノム編集技術を用いることで作製し、非リン酸化HBO1変異体をノックインする方法を用いて明らかにして行きたい。
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Causes of Carryover |
実験計画当初に予想していたHBO1のリン酸化とpre-RC形成制御についての新規機構については明らかに出来た部分もある。しかしその研究過程でHBO1のユビキチン依存的分解機構を発見し、この現象もDNA複製開始制御にかかわっていることがわかってきており、この部分をまとめ論文発表するために次年度に一部基金を使用する必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品\700,000、実験補助人件費\500,000、論文掲載費用\300,000、学会参加費(海外)\300,000、計\1,800,000を予定している。
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Research Products
(3 results)