2012 Fiscal Year Annual Research Report
炎症応答における多段階遺伝子発現制御機構とその恒常性維持における意義
Project/Area Number |
24390076
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
牟田 達史 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (60222337)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | IκB-ζ / シェーグレン症候群 / 自己免疫疾患 / 上皮細胞 / アポトーシス / 核内IκBファミリータンパク質 / 炎症 / 内因性リガンド |
Research Abstract |
研究代表者らが見出したIκB-ζは、炎症応答刺激に伴い発現誘導され、遺伝子発現制御に必須の役割を果たす核内IκBファミリータンパク質である。IκB-ζ遺伝子欠損マウスは、一群の炎症遺伝子発現誘導に障害を示す一方、眼瞼周囲に慢性炎症を自然発症する。この慢性炎症は、ヒトの自己免疫疾患の一種であるシェーグレン症候群に類似していることを見出し、この病因について各種細胞種特異的遺伝子欠損マウスを用いて解析を進めたところ、上皮細胞におけるIκB_ζ欠損が原因であることを明らかにした。また、IκB-ζ欠損涙腺上皮細胞では、過剰なアポトーシスが起きていること、IκB-ζを強制発現したケラチノサイトは、アポトーシスに対して抵抗性を示すこと、さらにこのアポトーシスを阻害する薬剤の投与により、病態が著しく改善することを見出した。以上の結果より、涙腺上皮で発現するIκB-ζは、アポトーシスを抑制する役割をもっており、この因子の欠損により発生する過剰なアポトーシスが自己応答性のリンパ球を誘導し、シェーグレン症候群用の自己免疫疾患を惹起していることが明らかになった。 また、B細胞におけるIκB-ζの発現は、B細胞抗原受容体とTol1様受容体及び、Fc受容体の3種類の受容体の刺激によって、転写活性化と転写後制御活性化の双方を介して厳密に制御されていること、さらにこの因子の欠損によって、B細胞における遺伝子発現に種々の障害が認められることを明らかにし、IκB-ζは、B細胞における炎症応答にも、重要な役割を果たすことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
IκB-ζ遺伝子欠損マウスの示す慢性炎症の病因について明確に示すことができ、Immunity誌に論文発表ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
IκB-ζ以外の核内IκBファミリータンパク質の炎症応答制御機構の解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
IκB-ζ以外の核内IκBファミリータンパク質の遺伝子改変マウスの炎症応答を中心に解析を行う。
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Research Products
(11 results)