2012 Fiscal Year Annual Research Report
治療耐性・癌幹細胞克服に向けた消化管癌の新規診断・治療標的の包括的同定と展開
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24390088
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安井 弥 広島大学, 大学院・医歯薬保健学研究院, 教授 (40191118)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 消化管癌 / 治療抵抗性 / 癌幹細胞 / CAST法 / 診断・治療標的 / スキルス胃癌 / 細胞生物学的機能 / ZDHHC14 |
Research Abstract |
本年度は,消化管癌の治療耐性・癌幹細胞克服に向けた新規標的分子を同定し、機能を明らかにする目的で以下のとおり研究を実施した。 1)CAST法による消化管癌特異的膜蛋白・分泌蛋白コード遺伝子の発現と機能解析 スキルス胃癌組織およびスキルス胃癌細胞株(HSC-44PEと44As3(HSC-44PE由来高腹膜転移株)についてそれぞれ1632、1152、1152クローンを解析した。両者の比較および正常組織との比較から,TMgSF3、ZDHHC14等をリストアップした。ZDHHCI4は44As3で高発現しており、siRNAによるノックダウンで細胞の浸潤、運動、接着が抑制された。同時に、インテグリンα5β1およびMT4-MMPの発現が抑制された。臨床検体では、ZDHHC14の発現とステージの進行に有意な相関が見いだされた。TMgSF3は胃癌の約20%で過剰発現しており、ふたつの異なるコホートにおいてTMgSF3の高発現は低分化非充実型胃癌患者の予後と有意に相関していた。さらに機能解析によって、細胞の浸潤に関わることが明らかとなった。 2)胃癌における癌幹細胞の解析 胃癌症例について、癌幹細胞のマーカーであるALDH1、CD44、CD133の発現を検討した。それぞれ、55%、62%、9%の症例で発現が確認され、いずれもステージの進行と相関していた。多変量解析によってCD44とCD133はどちらも独立した予後因子であることが明らかとなった。さらに、これらのマーカーの発現を胃癌原発巣と転移巣で比較検討したところ、ALDH1の発現に関し分化型では差は認められなかったものの、未分化型胃癌においては、原発巣では43%に発現が認められたのに対し、転移巣では75%に発現しており、両者に有意差が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画通り、スキルス胃癌細胞株のCAST解析を行ない、診断治療標的の候補となる遺伝子群を同定した。 研究実績の概要に示したように、その一部については様々な細胞生物学的機能解析を行なった。また、癌幹細胞の局在については、数種類の癌幹細胞マーカーを用いて、癌原発巣と転移巣における解析を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に従って研究を推進する予定である。但し、癌幹細胞の特性の解析に関しては、セルソーターでSP細胞と非SP細胞に分離することに加え、活性酸素種の異常細胞についてもマイクロアレイ解析を含む遺伝子発現解析を行なうこととした。技術的、設備的には問題なく遂行することができる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
CAST法による網羅的遺伝子発現解析において、クローン解析時に一定の割合でロスがおこるため、それを含めた使用計画としていたが、ロスを押さえる方法が分かったために、効率よく研究が実施でき、当該助成金が生じた。翌年度には、これを加えて、追加する活性酸素種異常細胞の解析に充てる計画である。
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Research Products
(25 results)