2012 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞と細胆管上皮の相互可塑性―細胆管反応における意義の解明と肝疾患治療への展開
Project/Area Number |
24390092
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
西川 祐司 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90208166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 雅大 旭川医科大学, 医学部, 助教 (30431399)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肝細胞 / 胆管上皮細胞 / 細胆管反応 / 慢性肝疾患 / 分化転換 |
Research Abstract |
1. Mx1-Creを用いた肝細胞追跡系において種々の肝傷害を検討した結果,成熟肝細胞が傷害部で胆管上皮細胞に分化転換することを証明することができた.一方,小葉中心性慢性肝傷害(四塩化炭素, thioacetamide)では,既存細胆管が増殖し,小葉中心に向って移動すると同時にグリソン鞘の胆管構造が次第に消失する現象が認められた.肝傷害に伴い胆管系はダイナミックに変化し,この過程には肝細胞の細胆管化生と既存細胆管の増生の両者が関与していることが明らかになった. 2. 成熟肝細胞の細胆管化生におけるJNK-c-Jun経路の役割を検討するために, Mx1-Cre(+/-)MKK7(fl/fl)マウスを作製し,安定なコロニーを得ることができた.Poly(I:C)投与後に全身状態の変化や肝組織の異常は認められなかったが,今後,肝傷害の影響や肝細胞の三次元培養を検討する. 3. ファブリー病モデルマウス(α-galactosidaseノックアウト+Gb3 synthaseトランスジェニック)の肝組織を検討し,組織化学的に大量のGb3が蓄積していることが明らかになった.このモデルでは肝においてp62の過剰発現が起こっており,今後,オートファジー異常が肝傷害や細胆管反応に与える影響を検討する. 4. マウス肝細胞三次元培養を行い,マウス肝細胞はコラーゲンゲル内にラット肝細胞と同様に樹枝状形態形成を示し,胆管上皮細胞のマーカーを発現するようになることを確認した. 5. Alb-DsRedラットから胆管上皮細胞を分離し,マトリゲル上で培養することで,一部の細胞が肝細胞様の形質を示すようになることが明らかになった.これは成熟した胆管・細胆管の形質の可塑性を示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Mx1Creマウスの系を用いることにより,慢性肝傷害に伴う肝組織のリモデリングが明確になったことは昨年度の大きな成果であると考えられる.他の培養実験なども順調に進行している.一方, MKK7(fl/fl)マウスの実験は動物のコロニーを作製するのに時間がかかり,肝傷害実験の実施には至らなかったが,現在,実験の準備が整っている.したがって,全体としては,ほぼ順調に進展していると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
MKK7ノックアウトおよびファブリー病モデルマウスを用いたin vivo, in vitroの実験を進め,傷害肝における炎症性サイトカイン産生細胞の同定,in vivo遺伝子発現系を用いた実験を開始する.
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