2013 Fiscal Year Annual Research Report
腸管出血性大腸菌が産生するSubABトキシンの病原性増強作用の解明
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24390104
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
野田 公俊 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60164703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 健 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70312840)
八尋 錦之助 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80345024)
津々木 博康 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40586608)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腸管出血性大腸菌 / SubAB / 小胞体ストレス / lipid-raft |
Research Abstract |
non-O157型腸管出血性大腸菌(EHEC)が主に産生する新たな毒素Subtilase cytotoxin(SubAB)は、小胞体中に存在するシャペロン蛋白質BiPを分解し、その活性を阻害することによってERにストレスを起こし、細胞障害、致死を誘導すると考えられる。今年度は、SubAB の細胞内侵入機構を詳細に解析した。 これまでSubAB はクラスリンを介して細胞内侵入することがサル腎細胞由来 Vero 細胞で示されていた。今回、HeLa 細胞を用い、種々の阻害剤、遺伝子抑制により評価した。クラスリン、カベオリン、ダイナミンのノックダウンではSubAB の細胞内への取り込みは抑制されず、クラスリンの阻害剤、ダイナミンの阻害剤を用いた場合も同様の結果を得た。mbCD, filipin III によるLipid-raft の阻害は顕著にSubAB の取り込みを抑制していた。つまり、SubAB はlipid-raft を介して細胞内に侵入していると推察された。 更に、Na+/H+ exchange channel 阻害剤 EIPA、アクチン重合阻害剤cytochalasin DでSubAB の取り込みは抑制された。又、取り込まれたSubAB は TritonX-100 不溶性ベシクル、つまり、コレステロールリッチな膜で覆われていることが判った。以上の結果は、SubAB が比較的簡単に、多様な組織に取り込まれ、毒性を発揮しやすいことを裏付けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SubAB の細胞内侵入機構を明らかにした点ではおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針 1)今回明らかにしたSubAB の細胞内侵入を解析した際、ある抗炎症剤でSubAB の細胞障害性を抑制することを見いだした。更に、臨床で使用されている薬剤を用いて、取り込み機構への影響と作用メカニズムを明らかにする。 2)SubAB の細胞致死機構の解析結果をまとめ、論文として報告する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在投稿中の論文の掲載費請求が年度末にくる可能性があったが、リバイスの実験が予想よりも時間がかかったために、次年度使用額が生じた。 論文掲載費用として使用する。
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Research Products
(10 results)