2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト化マウス解析法によるヒト血液病原性ウイルスの増殖と宿主応答メカニズムの解明
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24390112
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小柳 義夫 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80215417)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | HIV / Vpr / Vif / Treg / HTLV |
Research Abstract |
1)HIV-1感染初期過程における感染成立要因の解明と自然免疫反応の解析:生体内におけるHIV-1複製過程で、このウイルスのアクセサリ蛋白質であるVprとVifの役割を明らかにするために、変異ウイルスの解析を行った。まず、野生型ならびにvpr完全欠損ウイルスのヒト化マウス内におけるウイルス複製能を検討した。ウイルス接種後1-3週目に血漿中HIVRNA量は、vpr欠損ウイルスは野生型のそれに比し、その立ち上がりが遅れること、野生型ウイルスではCD4陽性T細胞のなかで制御性T細胞の急速な消失が見られた。一方、CD45RA陽性メモリーT細胞の低下は、ほとんど差はなかった。次に、Vifについて、Apobec3F(A3F)とApobec3G(A3G)のそれぞれの結合能を欠失する部位特異的vif変異ウイルスを作出し、培養細胞における増殖活性を、まず、評価した。 その結果、A3FあるいはA3Gの共発現細胞からのHlv-1の複製能は、それぞれのvifにおける結合部位により識別されていることがわかった。そして、これらのウイルスのヒト化マウスでの複製能について、現在検討をおこなっている。 2)腸管感染におけるHTLV-1の動態と標的細胞の解明:HTLV-1の標的細胞と仮定したTreg細胞を特異的に消滅可能なリシン標識CD25抗体薬であるdenileukin difitox(ONTAK)をヒト化マウスへ投与し、Treg細胞欠損環境下でのHTLV-1の腸管感染はどのように変化するのか、検討した。その結果、ONTAK処理細胞により、ヒト化マウス内のTreg細胞を特異的に破壊することに成功した。 しかし、マウス内のHTLV-1感染量をPCRにより測定したところ、差異は見出せなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HIV-1については、順調にウイルス学的解析が進んでいる。HTLVについては、当初の仮定とは違って、腸管感染におけるTregの関与は否定的となった。
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Strategy for Future Research Activity |
その研究領域の国際的要求性から考えて、次の実験施行はHIV研究について集中的に行う予定である。
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Research Products
(5 results)