2012 Fiscal Year Annual Research Report
OX40とILー7による記憶T細胞恒常性維持機構の解明
Project/Area Number |
24390118
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 直人 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60291267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗 孝紀 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (60294964)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 免疫記憶 / 記憶T細胞 / 腸管粘膜免疫 / Th17細胞 |
Research Abstract |
ナイーブT(以下T_N)細胞の恒常性維持増殖は、その速さにより「遅い増殖」および「速い増殖」の二つに分類され、速い増殖を経たTN細胞はエフェクターT(以下T_E)/エフェクター記憶T(以下T_<EM>)細胞へと分化する。T_EM細胞が腸管組織に豊富に存在することから、腸管関連組織におけるT細胞恒常性維持増殖が腸管T細胞の生成に重要な役割を果たすとの可能性が想定された。しかしながら、こうした「臓器特異的」な恒常性維持増殖はこれまで十分に解明されていなかった。そこで、カルボキシフルオレセイン・サクシニミジルエステル(以下CFSE)標識したCD4+T_N細胞を亜致死線量の放射線を照射した宿主マウスに移入し、宿主の小腸、腸間膜リンパ節、脾臓におけるドナー細胞の分裂、分化をそれぞれ別個に観察した。その結果、小腸、腸間膜リンパ節において速い恒常性維持増殖を示す細胞集団の中に、α_4β_7+かつインターロイキン(以下IL)17A+の表現型を示すT細胞、すなわち腸管指向性ヘルパーT17型(以下Th17)細胞が出現し、これらはエフェクター記憶T細胞として小腸粘膜固有層に蓄積されることが分かった。また、速い増殖はOX40共刺激因子に依存的であった。宿主マウスの腸間膜リンパ節を切除すると、小腸組織におけるIL17A+の速い増殖を示す細胞が有意に減少した。さらに、宿主マウスにFTY720を投与し、二次リンパ節からのリンパ球の遊出を阻害したところ、腸間膜リンパ節においてはα_4β_7+かつIL17A+の速い増殖を示すドナー細胞が蓄積し、一方、小腸組織においてはドナー細胞が著明に減少した。これらの結果は、小腸のTh17細胞の産生の場が腸間膜リンパ節であることを強く示唆した。本研究により、腸間膜リンパ節特異的な速い恒常性維持増殖により腸管指向性記憶T細胞が産生されることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
記憶T細胞の産生の場の一つとして腸間膜リンパ節の重要性を明らかにし、その報告をJ Immunol誌に発表することができた(印刷中)。上記の成果は当初の計画通りであり、研究が順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
計画は順調であり、当初の計画通りに遂行する。
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