2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24390120
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹田 潔 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20309446)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 粘膜免疫 / 腸内細菌 / 上皮細胞 / 腸管炎症 |
Research Abstract |
腸管で宿主と共生する腸内細菌が、宿主免疫系の発達に重要な役割を担うことが近年明らかになっている。しかし、どのような腸内細菌由来の因子群が、相乗的、協調的な効果を腸内環境で生み出すかは不明である。本研究では、従来腸内細菌間のコミュニケーションを司ることが知られている分子群に着目し、これら分子群が、細菌にだけでなく宿主の腸管免疫系、腸管炎症に及ぼす影響を、無菌マウスを用いて個体レベルで明らかにする。これまでに、糞便の腐敗臭の原因因子として知られているインドールが無菌マウスの糞便中では激減していることを見出している。インドールは、トリプトファンから細菌の持つ酵素により代謝され産生される物質で、腸内細菌間の会話因子として作用することも報告されている。しかし、宿主に及ぼす影響はほとんど解析されていない。 そこで、まず、大腸上皮細胞株Caco2細胞にインドールを投与し、Caco2細胞の細胞抵抗値を解析した。その結果、インドール投与により、Caco2細胞の細胞抵抗値が上昇した。また、インドール投与により、上皮間接着に関わる遺伝子群の発現が上昇した。次に、インドールを封入した腸溶性シームレスカプセルを無菌マウスの胃内に投与した。まず、投与1日後に糞便中のインドール濃度を解析し、インドール濃度が上昇することを確認した。次に、インドールを連日投与し、4日後に、溶媒のみを投与した無菌マウスとともに、大腸から上皮層を単離し、mRNAを調整し、種々の遺伝子発現をRT-PCR法により解析した。その結果、上皮間接着に関わる遺伝子群の発現が上昇した。 このように、無菌マウスの腸管腔ではインドール濃度が激減していること、インドールが細菌間の会話因子としてだけでなく、宿主の上皮細胞にも作用し、上皮のバリア機能亢進に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無菌マウスの腸管腔内で濃度が激減しているインドールが、腸管上皮細胞に作用していることを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、インドールによる腸管恒常性維持機構を解析し、腸内細菌会話因子による腸管免疫系への作用機構を明らかにしたい。
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