2014 Fiscal Year Annual Research Report
緩和ケアの新たな展望へ向けた研究:診療ガイドラインと患者の価値観・QOLの課題
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24390128
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮崎 貴久子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70464229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下妻 晃二郎 立命館大学, 生命科学部, 教授 (00248254)
大住 省三 独立行政法人国立病院機構四国がんセンター(臨床研究センター), その他部局等, その他 (20416473)
鈴鴨 よしみ 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60362472)
中山 健夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70217933)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 緩和医療(ケア) / QOL / 診療ガイドライン / 多施設共同研究 / ランダム化比較試験 / EORTC QLQ-C15-Pal / インタビュー調査 / 患者中心の医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
緩和ケアはがんの診断時から終末期まで必要とされている。本研究では、通常のがん治療から終末期まで、患者の価値観とQOLの維持向上を尊重する視点から、量的・質的研究を実施している。 がん治療中の緩和ケアとして、大腸がんステージⅣで化学療法を1年以上継続している32人の患者の参加協力を得て、インタビュー調査を実施した。大腸がんの新しい治療薬の開発によって生存期間が延長されたことに伴った患者の生活面への支援策を検討する知見を得るためである。現在、継続比較法(M-GTA)を用いて、患者と関わりがある他者との関係性とQOLに着目して分析中である。 がん治療から緩和ケアへの橋渡しの期間で、患者・家族とがん治療の医療者への有用な情報を検討するために、がん診療ガイドラインの内容分析を実施した。2000年から20006年に発行された診療ガイドラインと、直近に発行された診療ガイドラインの内容分析結果を比較検討中である。 終末期の緩和ケアとして、進行がん患者の終末期に多発する倦怠感治療法の、多施設ランダム化並行群間比較試験を実施している。海外では本邦では使用できない多用量の薬剤でのランダム化比較試験の報告があるが、本邦では標準治療も確立されておらず、エビデンスレベルの高い研究報告はない。本研究で我が国の実情に合った倦怠感治療のエビデンス構築を目指す。主たる研究機関の倫理委員会から承認を得た後、多施設の倫理委員会への申請を行い、承認を得た病院施設から順次登録を開始した。このように、研究目的に最適な研究方法を用いて、がんの治療中から終末期に至る緩和ケアの臨床研究を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究のうち2課題は順調に実施され、学会発表に取り掛かった。しかし、終末期患者の倦怠感治療の臨床研究は進捗に遅れが生じている。 臨床研究の遅れの理由は3つ考えられる。1)臨床研究の対象者が、がん終末期患者であることで、各協力施設の倫理委員会にて慎重な審査が行われ、倫理委員会からの実施への承認が当初の予定より遅れたこと。2)対象者の特性を考慮して、本プロジェクトでは参加者登録前に独立登録監査委員会から研究の説明実施への承認を得る必要があること。3)参加者の特性を最大限考慮して、登録には通常の臨床研究以上の慎重さを要すること。
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Strategy for Future Research Activity |
本プロジェクトの臨床研究については、申請時の予定より調査期間の延長を検討している。 参加協力病院1施設での臨床研究への登録数が今後も少ないと見込まれる。登録数を確保するために参加協力施設の拡充に努めている。一方で、終末期患者への倫理的配慮を最優先事項として、患者への無理なリクルートはしないという方針を徹底している。 参加施設拡充のために、学会やセミナーなどでの参加施設募集の広報を企画した。
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Causes of Carryover |
2課題は順調に実施されているが、終末期患者の参加を得る臨床研究は進捗に遅れが生じている。そのために、臨床研究を円滑な実施のための研究活動費を確保するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に進捗がに遅れがみられる臨床研究のための経費に使用する。登録者数や研究期間に関して打ち合わせのための会議開催、協力施設への支援強化のための旅費、データセンターへの謝金、事務局の人件費等。 ほか、計画通りに実施している課題については、研究成果公表への準備をする。
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Research Products
(9 results)