Research Abstract |
本研究は,入院患児の負のイメージ心理量を定量的に評価できるツールの開発が最終到達点と位置づけており,本年度は,心理量を,重さ,面積,容積,長さ,の各物理量に置き換えて評価することができるかどうかを検証する年度とした. そこで,先ず,各物理量に置き換えて評価できるプロトタイプのツールを制作し,入院患児,保育園児等を対象に検証を行い,各ツールが,子どもの心理量を物理量に置き換えて評価できることを,マグニチュード推定法を用いて明らかにした. 入院患児を対象とした実験では,外泊後の落ち込み,身体拭きの嬉しさ,排尿時の痛みに対する恐怖感,抜管への不安感などを的確に捉えることができた.また,保育園児を対象とした実験では,喧嘩後の憂欝感トイレの我慢,プール嫌いを隠す強がりなど,保育士が気づかない心理まで,的確に捉えることができた. 面積を用いたカード型ツールでは,線画で描いた円の大きさを段階的に変えたツールと正方形の大きさを段階的に変えたツールと,線画を穴に変えたツールを比較したところ,圧倒的に穴の空いたツールを使用した方が,心理量を捉えやすいことを明らかにした. 子どもの心理を正確に捉えるためには,子どもに評価されているというイメージを持たせないことが重要であるため,積み木,木工細工など,子どもが小さい頃から,あるいは歴史的にも慣れ親しんできた木工玩具の形態をとった.これらをマグニチュード推定法と組み合わせた効果として,子どもは玩具で遊ぶような感覚で,ストレスを感じることなく扱え,心理量を評価できた. 重さを用いたツールにおいて,入院患児からどの段階を選んでいるか看護師に知られないことがとても嬉しかったという回答があったように,評価されているというストレスを軽減するためのデザインの重要性も明らかにできた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
入院患児,保育園児の心理量を,重さ,面積,容積,長さに置き換えて評価できることを明らかにすることができた.同時にプロトタイプのツールに対してフィードバックを繰り返し,実際の医療現場でも使用できるレベルに近づけることができた.
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