2012 Fiscal Year Annual Research Report
う蝕原因菌による頭蓋内出血の増強のメカニズム解明とバイオマーカーの探索
Project/Area Number |
24390138
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
梅村 和夫 浜松医科大学, 医学部, 教授 (40232912)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | う蝕原因菌 / 頭蓋内出血 / 血管内皮傷害 / マトリックスメタロプロテアーゼ-9 / コラーゲン結合タンパク |
Research Abstract |
口腔細菌である、う蝕原因菌が頭蓋内出血のリスクファクタの1つである可能性を示し、この成果はNature Communicationsオンライン版に掲載された(Nat Commun. 2011 Sep 27;2:485. doi:10.1038/ncomms1491)。上記研究では、う蝕原因菌(Streptococcus mutans : S. mutans)の中に高病原性菌が存在し、その菌は脳血管内皮傷害部位に集積し、matrix metalloproteinase-9 (MMP-9)の産生・活性を増強し、血管の細胞外マトリックススを融解し、頭蓋内出血を増強する可能性を示した。さらに、この菌の表面にコラーゲン結合蛋白を発現していることを見出した。当該研究では、コラーゲン結合蛋白がどのようなメカニズムでMMP-9の産生亢進および活性化を行うか、さらにコラーゲン結合蛋白がリスクファクタのバイオマーカーとなり得るかを検討する。バイオマーカーとして活用できるためには、コラーゲン結合蛋白を測定する方法の確立が重要となる。当該研究期間内に測定系の確立を目指す。初年度である24年度においては、培養内皮細胞(bEnd.3)を用いて、菌暴露後のMMP-9量の変化を検討した。コラーゲン結合タンパクを有するS. mutans TW295株とコラーゲン結合タンパクを有しないS. mutans MT8148株を培養内皮細胞に暴露し、一定時間後のMMP-9mRNA量をリアルタイムPCR法にて比較した。結果、暴露1.5時間から3時間後のTW295暴露群においてMMP-9mRNAの上昇がみとめられた。今後はリコンビナントコラーゲン結合タンパクを暴露した際のMMP-9量の変化を比較検討する。加えて、細胞内シグナル伝達についても検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高病原性う蝕原因菌および培養細胞を用いたMMP-9の評価系の確立はほぼ完了することができた。次年度以降,コラーゲン結合タンパクによる刺激後のMMP-9産生やシグナル伝達の解析を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.高病原性う蝕原因菌によるMMP-9の産生亢進や活性化のメカニズム解明:培養内皮細胞において菌暴露後にMMP-9の産生が亢進することが確認できたので、toll-like receptor(TLR)関連シグナルを介しているか検討を行う。またTLRシグナル伝達がNFx-Bを介してMMP-9の産生に関与しているかを確認する。2.コラーゲン結合蛋白によるMMP-9の産生亢進や活性化のメカニズム解明:コラーゲン結合蛋白自身が何らかのメカニズムでMMP-9の産生を亢進していることが考えられるので、上記1の検討方法でMMP-9の産生細胞、産生経路について検討する。3.コラーゲン結合蛋白がMMP-9の産生亢進細胞に何を介して刺激をしているかを解析:(上記1、2の方法でMMP-9産生亢進細胞と高病原性う蝕原因菌並びにコラーゲン結合蛋白とTLRとの関係が見いだせなかった際にこの解析を進める)。4.コラーゲン結合蛋白検出方法の確立。5.バイオマーカーとしての可能性の検討
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の計画をより速く、精力的に進めるために、消耗品等の購入に充てる予定である
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