2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞運命決定機構を利用した環境汚染物質の曝露評価とその簡便検出法の開発
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24390159
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
吉田 安宏 産業医科大学, 医学部, 准教授 (10309958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 俊弘 産業医科大学, 医学部, 教授 (60177748)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 環境汚染物質 / NF-kB / 粒子状物質 |
Research Abstract |
環境汚染物質、特に粒子状物質の健康影響に関して、多方面から研究してきた。特に粒子状物質の代表でもあり、健康影響が懸念されている黄砂について、亜急性の影響をリンパ組織に関して解析した。マウスの気管内にハロタン麻酔科で、0.5 mL量(100 μg)の黄砂を投与後すばやく蘇生しケージに戻す。気管内投与後、1日目および3日目にマウスを解剖し、脾臓細胞を調製した。肺での炎症は洗浄液中のサイトカイン(TNF-α)を測定することで評価した。1日目では肺での炎症が確認されたが、脾臓では変化が認められなかった。対照的に、3日目では肺での炎症は低下していたが、脾臓では細胞の活性化が認められた。特に転写因子であるNF-kBの活性化が脾臓細胞中で観察された。これらの結果は環境汚染物質による生体影響があり、更にはアレルギーなどを引き起こす際に重用な役割を果たす免疫担当細胞の活性化を伴っていることを示している。また環境汚染物質のうちガス状化学物質であり、シックハウス(ビルディング)症候群の原因物質として疑われている2-エチル-1ヘキサノールについて解析をした。BALB/cマウスに2-エチル-1ヘキサノールを10μL点鼻し、曝露モデルマウスを作成した。曝露後、24時間でマウスかた脾臓を摘出し、脾臓細胞を調製した。その増殖能を測定したが、対照群と曝露群に有意な差は認められなかった。 これらの結果から、粒子状物質の生体影響が懸念されるエビデンスが得られた。またガス状物質に関しては、投与方法、期間などを更に検討していくことが重要であると考えられ、最終年度につなげていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画にのっとり、遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の結果を踏まえ、計画を遂行していく。粒子状物質の生体影響が懸念されるエビデンスが得られたので、その点はより詳細に解析する。またガス状物質に関しては、条件検討などを含め、影響の有無を再度検証する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ計画通りに進んだが、海外のレートや、キャンペーンを利用し、若干の余剰がでたため。 金額は多くないので、消耗品に当てる予定である。
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