2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルスリテラシーに着目したヘルスコミュニケーション改善のための実証研究
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24390163
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 ひろの 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40384846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野呂 幾久子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (10242752)
木内 貴弘 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (10260481)
錦織 宏 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10463837)
江頭 正人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80282630)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヘルスリテラシー / ヘルスコミュニケーション / 医療コミュニケーション / 医療面接教育 / リスクコミュニケーション / 患者教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、患者・市民が、医療者と協働して治療のプロセスに主体的に参加し、自分自身の健康状態の維持・向上に取り組むことの必要性が指摘されている。このためには、患者・市民が、健康医療に関する適切な情報を入手し、正しく理解した上で、意思決定に利用していく力をもつことが重要な前提となる。本研究では、このような力を表す“ヘルスリテラシー”に着目し、医療の質や医療資源の効率的な利用の基盤となるヘルスコミュニケーションの改善を図るため、患者・市民のヘルスリテラシーの向上と、医療者およびメディアによる情報のコミュニケーション能力の向上の両面からアプローチする実証研究を行うことを目的とし、平成26年度は以下を実施した。 (1)患者・市民のヘルスリテラシー教育:昨年度開始した2型糖尿病患者のヘルスリテラシーと自己管理に関する縦断調査を終了し、データの分析とまとめを行った。 (2)医師のコミュニケーションスキル教育:東大病院の初期臨床研修医を対象とし、患者とのコミュニケーションスキルに関する自信、態度、臨床研修での困難とその対処等について、研修開始前、1年後、研修修了時の3時点での縦断的な質問紙調査を継続実施し、その変化を分析した。また、希望者を対象に模擬医療面接を実施し、質問紙調査のデータと合わせて分析を行っている。教育プログラムの内容、実施方法についてさらに検討を重ねた。 (3)メディアを通じたコミュニケーション:昨年度実施した住民のインフルエンザパンデミック予防動機へのニュース記事の影響に関する調査の分析を終了し、一部を学会報告した。自治体広報新聞におけるがん検診案内記事の分析を、分かりやすさと説得性の観点から評価し、行動変容を促す説得的メッセージの要素について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
おおむね当初の計画通り進んでいるものの、調査分析を進める中で、対象や実施方法について変更および追加の必要性を感じ、再検討を行ったことから、全体としてやや遅れが生じている。 患者を対象としたヘルスリテラシー教育プログラムは、患者も含む一般市民向けに構成したほうが現実的であり有用であると考え、プログラムの内容及び実施方法について再検討を行った。また、当初の計画では主に成人を対象とした教育を考えていたが、昨年度、NPO法人ささえあい医療人権センターCOMLの子ども版「いのちとからだの10か条」の作成プロジェクトに協力する中で、子どもを対象としていくことの必要性を感じ、新たにその調査研究を追加することを検討している。 医師のコミュニケーション教育については、研修医を対象としたプログラム実施の困難と、学部での卒業時OSCE導入の予定を踏まえ、学部教育での実施を検討している。 メディアを通じたコミュニケーションについては、健康リスク情報報道に限らず、行動変容を促す説得的メッセージの作成について検討を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
NPO法人ささえあい医療人権センターCOMLが大阪のCOML事務所で行ってきた「医療で活躍するボランティア養成講座」について、内容をさらに検討・整理したうえで、市民向けのヘルスリテラシー教育プログラムと位置づけ、共催の形で東京大学で実施し、評価を行う。また、小学校児童を対象としたヘルスリテラシー教育プログラム教材の開発を行う。 医師のコミュニケーションスキルプログラムについては、研修医に利用しやすい形の教材をまとめるとともに、学部生を対象とした実習及びその評価実施について検討する。 行動変容を促す説得的メッセージの作成のためのチェックシートおよび評価尺度の開発に向け、文献レビューを行う。
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Causes of Carryover |
調査分析を進める中で、対象や実施方法について変更および追加の必要性を感じ、再検討を行ったことから、一部調査などの実施に遅れや変更が出たため。 具体的には、患者を対象としたヘルスリテラシー教育プログラムを、患者も含む一般市民向けに構成することに加え、当初の計画では主に成人を対象とした教育を考えていたが、子どもを対象とした調査研究を追加する。 また医師のコミュニケーション教育については、学部での卒業時OSCE導入の予定を踏まえ、学部教育での実施を検討している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
変更追加を受けて実施する以下の調査に使用する。 「医療で活躍するボランティア養成講座」を市民向けのヘルスリテラシー教育プログラムと位置づけ、COMLと共催の形で東京大学で実施し、評価を行う。また、小学校児童を対象としたヘルスリテラシー教育プログラム教材の開発を行う。 医師のコミュニケーションスキルプログラムについては、研修医に利用しやすい形の教材をまとめるとともに、学部生を対象とした実習及びその評価実施について検討する。
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Research Products
(5 results)