2013 Fiscal Year Annual Research Report
文化変容の多層化に伴う性感染症流行拡大とその制御:共同体エフィカシー強化の効果
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24390164
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中村 桂子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00211433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清野 薫子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (10508336)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヒトの移動 / 文化変容 / 共同体エフィカシー / 性感染症 / 外国人労働者 |
Research Abstract |
ヒトの移動、物流、情報ネットワークは急速に拡大しており、これらの影響を受けてヒトの疾病リスクが増大している。社会の変化と共に発生する文化変容に伴う疾病リスク、特に性感染症の罹患リスクの増大は多層的に発生し、急速に拡大している。多層的な文化変容とこれに伴う疾病リスク増大の計測は、疾病流行を制御しようとする地域プログラムの開発に不可欠である。 平成25年度の研究では、ヨルダン国のAl-Hassan地区にある工業特区の11の工場労働者の就労1年以上の18歳以上の男性労働者3,313人から抽出した男性の外国人労働者378人および男性の国内労働者222人を対象として実施した調査対象者について、クラミジア抗体検査の精査を行った。Chlamydia trachomatics (C. trachomatis) IgA抗体価IgG抗体価者陽性割合はそれぞれ、外国人労働者3.4%、18.8%、国内労働者12.6%、19.8%、Herpes simplex virus-2 IgG抗体陽性割合は、外国人労働者24.4%、国内労働者31.2%であった。C. trachomatics抗体価陽性と配偶者以外との無防備な性交渉の経験を有することの間に有意な関係が示され、国内労働者の内、しばしば外国人と食事をとる者はC. trachomatics抗体陽性が有意に多かった。ヨルダンでは宗教的背景から婚外性交渉に対して保守的な習慣があると信じられていたが、調査結果はヨルダン人労働者のC. trachomatics感染履歴が、外国人労働者と同等であることが示し、外国人と接する機会が多いこととの関係が示唆された。文化変容の多層化に伴う性感染症の流行拡大を制御するためには、文化的多様性をふまえた性感染症の予防に関する教育機会、相談の機会の確保の必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ヨルダンの工場労働者の健康調査結果に基づき、性感染症、精神的健康に関するデータを分析し論文をとりまとめた。「ヘルシーワークプレース」のガイドラインを、ベトナム、カンボジア、に適用して労働者と家族を対象としたプログラムの検討をすすめた。アセアン地域の急速な経済成長に伴い、タイ国の外国人労働者の数が急増していること、外国人労働者を対象とする先進的プログラムが存在することから、タイにおける調査の計画を検討している。研究計画の内容として、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
アセアン地域で外国人労働者が急増しているタイにおける外国人労働者の労働条件と疾病構造について調査を行い、文化変容と疾病リスク増大の関係、外国人労働者の健康保護の介入方法について検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ヨルダン、ベトナムの調査は現地研究者の協力で、研究遂行が可能となった。タイの外国人労働者の調査の計画に着手した。現地研究者との連絡をとりすすめているが、現地の準備に時間がかかり、予算の次年度使用となった。 平成25年度に計画したが、現地研究協力者の準備の都合により実施時期を平成26年度に繰り越したタイにおける疾病構造調査の経費として使用する。
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