2013 Fiscal Year Annual Research Report
双生児家系世代間長期縦断データによる成人期以降発症疾患のライフコース遺伝疫学研究
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24390167
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Research Institution | Ishikawa Prefectural Nursing University |
Principal Investigator |
大木 秀一 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (00303404)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 双生児 / 胎内環境仮説 / ライフコース遺伝疫学 / 世代間伝達 / 生態学的モデル / レコードリンケージ / 生殖補助医療 / 出生体重 |
Research Abstract |
両親世代・胎児期から小児期、小児期から成人初期(18歳)の要因が成人期以降に発症する疾患に与えるリスクをFamily-basedライフコース遺伝疫学的アプローチにより検証することが目的である。前年度に引き続いてデータベースの更新と仮想的世代間コホートを構築することに取り組んだ。第1コホートの大規模双生児家系長期縦断データベースの更新と追加データの項目確認、第2コホートの全国の多胎育児サークルから入手した両親及び双生児のデータベースの更新、また、生殖補助医療に伴う先天異常発生状況のデータベースの更新を行った。 分析は、出生体重、栄養方法(母乳栄養・人工栄養の別とその期間)と18歳時BMIの関係などを中心に行った。出生体重群別の18歳時肥満出現割合を見ると、男子では2000-2500gを最低とするJカーブを描いたが、女子ではこのような傾向を認めなかった。出生後の期間別体重増加量と18歳時BMIの相関は、生後1年間の体重増加量が最も強い相関を示した。体重増加量を詳細に検討すると体重増加量上位25%ile群は下位75%ile群と比較して、生後1,3,6,11,15歳のいずれでも有意にBMI値が大きかった。人工栄養群は母乳栄養群と比較して1,3,6,11歳のいずれにおいても有意なBMI高値を示したが、11歳で差が縮まった。同性双生児について卵性別に生後1年間の体重増加量と18歳時BMI の相関係数行列を求めると、①体重増加量と18歳時BMIには前述のように一定の相関が確認できること、②体重増加量及び18歳時BMIそのものに遺伝的影響が示唆されること(一卵性>二卵性)、③体重増加量と18歳時BMIのクロス相関に一定の傾向が見られないため、この間のメカニズムが必ずしも遺伝的なものではないことが示唆された。 調査に協力頂いた多胎サークルに向けて、結果説明や多胎育児講演会などを積極的に実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1コホート、第2コホートともにデータベース更新を行い、最適なレコードリンケージとデータクリーニングを進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、3年間を通じてのまとめを行う意味で、以下を予定している。 (1)ライフコース遺伝疫学解析・最終的なモデルの構築:具体的な解析結果をもとに、成人期以降発症疾患の世代間伝達・ライフコース疫学モデルを構築する。(2)国際双生児研究学会等参加による国際共同研究打ち合わせと情報交換:国際学会に参加し、最終結果を報告する。(3)フィードバックする資料・研究成果報告書の作成:多胎育児家庭や多胎育児支援者向けのリーフレット作成と報告会の開催、専門家向けに研究報告書・書籍によるフィードバックを行う。(4)政策提言:全成果を踏まえた上で、科学的根拠に基づいた健康政策提言の内容をまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
不具合のあったパソコンが修理で対応できるかどうか検討したため購入は次年度に見送った。また、海外学会発表の1回分を別財源から支払ったため次年度使用額が生じた。 次年度はパソコン購入、海外学会発表(旅費・学会参加費)を予定している。また、結果を論文化するための費用(英文校正料・論文掲載料)、フィードバック資料の作成費用として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)