2012 Fiscal Year Annual Research Report
視床下部ペプチド-扁桃体モノアミン神経性協調動態からみた習慣飲酒形成の機序解明
Project/Area Number |
24390176
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉本 寛司 京都府立医科大学, 医学研究科, 准教授 (70111903)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 義久 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (50363990)
高坂 友和 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (20551469)
池谷 博 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (30292874)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | グレリン / 視床下部 / ドパミン / セロトニン / 脳報償系 / PAG |
Research Abstract |
グレリンは、GHS-R (growth hormone secretagogue receptor : 成長ホルモン分泌促進因子受容体)のリガンドとして発見された。グレリンシグナルは、血液脳関門通過弓状核系と迷走神経求心路孤束核延髄系がある。前者は視床下部外側野、後者は尾側延髄腹外側を介してPeriaqueductal gray (PAG)に連絡している。我々は既にアルコール依存形成機序形成に縫線核を含む腹側被蓋野―側坐核脳報償系、特に側坐核5-HT_<2c>受容体亢進が大きく関与していることを発表した(基盤B 17390203)。平成24年度において習慣飲酒モデル動物におけるアルコール摂取後のin vivo視床下部グレリン放出とモノアミン放出変動の相互関係を神経薬理学的に検討した。実験I : 1,3,10月齢雄マウスにアルコール3g/kg i.p.投与した。対照群の血中グレリンは加齢とともに減少した。1,3月齢アルコール投与群のグレリンは対照群に比較して有意に減少した。実験II : 1,3,10月齢で約20日間アルコール蒸気吸入装置内飼育し、その後自発アルコール摂取量増加を確認した個体を習慣飲酒モデル動物とした。1,3月齢の習慣飲酒モデルマウスのグレリンはアルコール投与後有意に増加した。実験III:正常飼育マウスにペプチド回収プローブガイドカニューレを視床下部に挿入固定し、アルコール投与によるin vivo(無拘束無麻酔)視床下部グレリン放出をpush-pull法により測定した。アルコール投与後4時間視床下部グレリン放出増加が認められた。実験IV : アルコール吸引1日マウスは、アルコール投与80分後にドパミン放出の増加を認めた。視床下部セロトニン放出に有意な変化は認められなかった。一方習慣飲酒モデル動物は、in vivo視床下部ドパミン及びセロトニン放出増加がアルコール投与早期から認められ、各神経性賦活が示唆された。実験V : 習慣飲酒モデル動物のGHS-RlAmRNA発現増加が著名に認められた。習慣飲酒形成においてPAGを介した脳報償系セロトニン神経系賦活を伴う視床下部ドパミン放出亢進とグレリンシグナル感受性増加を示す神経協調が認められた。アルコール依存症改善へのグレリン受容体アンタゴニストの臨床応用が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.マウス脳固定手術の回復とその後の脳ペプチド回収(1サンプル当たり1時間)に時間がかかり、計画の個体数を確保できなかった。 2.ペプチド回収回路の結晶産生で機器分析が遅れた。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.脳ペプチド回収と分析サイクルの改善により個体数を確保する。 2.実験モデル動物(マウス又はラット)を目的に応じて変更・選択する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.モデル動物(術後回復良好)の安定供給に努め、実験サイクルの速度を改善。 2.各種プローブ及び回収パーツ等の予備購入確保により、実験準備時間を短縮する。 なお、脳ペプチド回収法改良のため実測モデル動物の作製数が減少し未使用額が発生した。
|