2013 Fiscal Year Annual Research Report
腸内細菌パターンの決定因子の同定と腸内細菌パターン戦前化計画
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24390190
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金井 隆典 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40245478)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 腸内細菌 |
Research Abstract |
炎症性腸疾患(IBD)である、潰瘍性大腸炎及びクローン病は、1)本邦において増加の一途をたどり、2)罹患患者の多くは若年者や生産期の年齢層であり、3)現時点において、発症すると根治が困難で生涯にわたり専門医治療が必要となる難病である。病態解明は以前行われていないが、戦後わずか60年での激増の背景には遺伝子異常の要因以外に環境の激変(衛生環境、食生活の欧米化など)が中心的に関与するものと考えられる。 我々は、これまでの予備検討で明らかとした、活動期IBD患者で減少する糞便中Bacteroides fragilis, Clostridium coccoides, Clostridium leptumの中でも特に減少の著しいClostrida目の細菌に着目して、解析を行っている。さらに、寛解導入により、このClostridia目の細菌は増加を認めており、腸炎の病態への関与が考えられた。次にこのClostridia目の細菌を無菌マウスへ定着させたgnotobiotic miceの作成を試みたが、ヒト由来のためか定着に難渋し、代替として幼児期から死菌体の投与を行い、大腸粘膜固有層の免疫担当細胞の変化を制御性T細胞を中心として解析したが、T細胞の変化は認めなかった。一方でCD11b陽性細胞の増加を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無菌マウスへのClostridia目細菌の定着には難渋しているが、代替として、死菌体を用いて実験を行っている。また、ヒトIBD患者の糞便を用いた腸内細菌叢の解析は着実に症例数を増やせている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで解析できている糞便検体は主に活動期患者や治療後2か月以内の患者であり、今後は寛解状態を半年以上保てている患者の糞便検体を用いて、解析を行い、寛解導入直後や健常者との比較を行う。 また、引き続きClostridia目細菌のgnotobiotic miceの作成を改善策(代謝産物との共投与など)を講じておこない、菌体の免疫担当細胞への影響を検討する。 一方、腸炎状態への影響を検討するため、デキストラン硫酸誘発性腸炎やオキサゾロン誘発性腸炎モデルマウスを用いて、Clostrida目細菌の影響をin vivoないしex vivoで検討する。
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