2013 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体腎炎に対するFSP1を中心とした新規治療戦略
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24390216
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岩野 正之 福井大学, 医学部, 教授 (20275324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 秀樹 福井大学, 医学部附属病院, 准教授 (20283187)
岡田 浩一 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60233342)
中谷 公彦 奈良県立医科大学, 医学部, 非常勤講師 (80398445)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | FSP1 / 糸球体腎炎 / ポドサイト |
Research Abstract |
われわれは、半月性形成性糸球体腎炎などの活動性糸球体疾患では、ポドサイトと半月体細胞にfibroblast specific protein 1 (FSP1)の過剰発現が認められ、尿中には高度の分泌型FSP1が検出されることを報告している。さらに、1) ポドサイトにFSP1を過剰発現させた遺伝子改変マウスでは糸球体疾患が誘導されないこと、2)FSP1には強力な抗アポトーシス効果があることなどから、FSP1には腎炎惹起作用よりも、むしろ糸球体保護作用があるという作業仮説を立てた。また、FSP1は細胞外に分泌されるが、分泌型FSP1の腎炎進展における役割は不明である。 本年度は、分泌型FSP1のin vivoでの役割を検討するために、リコンビナントFSP1(rFSP1)を作製し、マウス腎炎モデルへの投与実験を実施した。ポドサイト特異的にFSP1を過剰発現させた遺伝子改変マウス(TK152TG)とコントロールマウス(Wild)にLPS (20ng)を腹腔内投与し、4時間後に腎臓を摘出、糸球体を単離した。単離糸球体mRNAを抽出し、TNF mRNA発現量をreal Time PCR法で定量した結果、TK152TGではTNF mRNA発現量が有意に抑制されていた。次に、Wild マウスにrFSP1(4 mg)、あるいは生食を投与後、LPS (20 ng)を腹腔内投与し、4時間後に腎臓を摘出、糸球体を単離した。単離糸球体mRNAを抽出し、TNF mRNA発現量をreal Time PCR法で定量した結果、rFSP1投与によりTNF mRNA発現量が有意に抑制されていた。 さらに、次年度、nephrotoxic serum 惹起腎炎モデル(NTS腎炎)を用いた実験を行うため、TK152TGおよびFSP1 KOマウスをC57BL/6マウスと8回戻し交配を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度報告した通り、遺伝子改変マウスがネズミ盲腸蟯虫に感染したため、クリーン化に時間を取られた。本年中に10回戻し交配を終了し実験腎炎作製予定であったが、8回しか戻し交配ができなかった。約4か月、予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
戻し交配を10回終了後、NTS腎炎を作製し、ポドサイトで発現するFSP1に糸球体保護作用があることを証明する。さらに、rFSP1が糸球体腎炎の新しい治療薬となる可能性を示す。 尿中FSP1の臨床的意義を検討するために、3年間収集した尿検体のFSP1を、われわれが開発したELISAキットで測定する。
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