2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24390227
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
林 由起子 東京医科大学, 医学部, 教授 (50238135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久 敬 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所疾病研究第一部, 流動研究員 (90610840)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 核膜 / ラミン / リン酸化 / 筋ジストロフィー / ミオパチー / モデルマウス |
Research Abstract |
エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー(EDMD)を含む核膜病は、筋疾患、心疾患、代謝異常、発育・発達異常や早老症候群など様々な疾患を引き起こす。EDMDは筋ジストロフィー、関節拘縮、心伝導障害を伴う心筋症を3主徴とする遺伝性疾患である。原因遺伝子としてEMD、LMNA、SINE1、SINE2、FHL1、そして我々の同定したTMEM43がある。本研究は、各種核膜病のモデルマウスの解析を中心に核膜関連筋疾患の病態を明らかにすることを目的としている。 1)A 型ラミンの疾患特異的リン酸化の意義の解明:我々の作成した疾患特異的リン酸化ラミンAあるいは非リン酸化ラミンAを発現するマウスの解析を進めた。いずれも高発現系と低発現系を確立し、ホモ化した。その結果、これまで明確でなかったが、いずれのマウスも変異ラミンAの発現がほとんど認められないにもかかわらず、低体重を示し、筋量がやや少なく、生殖器にも早老様変化が認められることが明らかとなった。一方、ラミン欠損マウスに変異ラミンAを発現させると生存期間が延長することも明らかにした。現在、さらなる解析を行っている。 2)核膜病における骨格筋再生についての検討:各種核膜病モデルマウスに筋壊死を誘導し、再生能の検討をおこなっている。 3)特異な筋病理所見を呈するLMNA変異例の病態解析:筋病理学的に先天性筋線維不均等症を示す先天性ミオパチー例でLMNA変異が見いだされ、新たな臨床病型として報告した(J Neurol Sci, in press)。興味深いことに、本例を含むLMNA変異例ではしばしば速筋径が対象筋と比べ大きいことが判明し、今後、その機序について検討をすすめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属先が変更になったため、一時的に研究の中断をせざるをえず、また、新たな研究室における実験環境整備に時間が必要であったため。 上記所属先変更に伴うモデルマウスの移動のため、個体数の削減、ラインの一時閉鎖、凍結胚の作製等に時間と労力が必要となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
1)疾患特異的リン酸化ラミンA発現マウスの病態解明を継続する。ホモ化した各ラインのマウスについて、所属先変更に伴い多数作製した、未解析サンプルについて、導入した変異ラミンAのmRNA、タンパク質の定量を行い、その発現機構を明らかにする。また、変異導入マウスの臨床病型を明らかにするとともに、ラミンA欠損マウスとの交配を進め、リン酸化ラミンAの機能を探索する。 2)新たに電気生理学的手法を用いて、核膜病モデルマウスの心障害の発生機序の解明に向けた検討を開始する。 3)疾患特異的リン酸化ラミンA発現にともなう核膜タンパク質の変化を解析し、治療法開発の糸口を探る。
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