2013 Fiscal Year Annual Research Report
PGC1α新規アイソフォームの機能解析を通じた運動による代謝改善機構の包括的解析
Project/Area Number |
24390234
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小川 渉 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40294219)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖尿病 / メタボリックシンドローム / エネルギー消費 |
Research Abstract |
PGC-1αb/αc特異的欠損マウス及び野生型マウスの安静時及び運動時の骨格筋の遺伝子発現の網羅的な解析を行うことにより、野生型マウスでは運動により発現が増加し、PGC-1αb/αc特異的欠損マウスではその発現増加が抑制される遺伝子を多数同定できた。このような遺伝子群の中にはACOT1やACOT2、PPARα、UCP2などの、脂肪酸代謝や熱産生に関わる遺伝子が含まれることが明らかとなり、これらの遺伝子の誘導不全がPGC-1αb/αc特異的欠損マウスの運動時のエネルギー消費低下に関与すると考えられた。 また、PGC-1αb及び cと同じエクソンから転写が開始される新規PGC-1αの新規アイソフォーム、PGC1α2, 3, 4の機能の解析も進めた。PGC-1αb及びcは、培養筋肉細胞に過剰発現すると、PGC-1αaと同様に、ミトコンドリア関連遺伝子や糖・脂質代謝関連遺伝子の発現を誘導したが、PGC1α2, 3, 4にはこのような遺伝子の発現誘導能を認めなかった。また、PGC-1αb及びcはPGC-1αaと同様に、培養筋肉細胞に過剰発現するとミトコンドリア呼吸能の活性化やプロトンリークの増大を引き起こしたが、PGC1α4にはこのような能力は無かった。また、PGC1α4はPGC-1αb及びcと同様に、骨格筋、褐色脂肪、心筋などに発現を認め、骨格筋では運動やβアドレナリン刺激により発現が増加した。しかし、その発現量はPGC-1αb及びcと比較して、0.1~0.01%程度であり、極めて発現量が少ないことが明らかとなった。以上のような結果から、PGC1α2, 3, 4は代謝制御における役割は極めて限定的であり、PGC-1αb/αc特異的欠損マウスは、PGC1α2, 3, 4をも欠損しているものの、その代謝表現型はPGC-1αb及びcの欠損に依存すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りにPGC-1αb/αc特異的欠損マウス及び野生型マウスの安静時及び運動時の骨格筋の遺伝子発現の網羅的な解析を行い、PGC-1αb/αcいより発現が制御されるエネルギー代謝関連遺伝子を同定することができた。また、やはり当初の計画通りに、PGC1α2, 3, 4のPGC-1αb及びcとの機能的相違について新知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後各臓器における新規アイソフォームの個別の機能を検討するため、新規アイソフォーム特異的エクソン両端にLoxP配列を挿入したマウスの作成に着手している。今後、このマウスの作成を更に進めてゆく。また、PGC-1α新規アイソフォーム特異的プロモーターを用いたPGC-1α新規アイソフォーム過剰発現マウスの作成のため、PGC-1α新規アイソフォームの内因性プロモーター領域の決定についての検討も行っているが、今後更にこの解析を進めてゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画していた、PGC1α新規アイソフォーム特異的欠損マウスの作成において、予定していた遺伝子のクローニングに遅れが生じ、マウス作成計画の一部が25年度に中に終了しなかったため。 平成26年度に遺伝子のクローニングを行う。
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