2013 Fiscal Year Annual Research Report
グルココルチコイドによる生体機能の統合的調節に関する研究
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24390236
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 廣壽 東京大学, 医科学研究所, 教授 (00171794)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 内科 / 臨床 |
Research Abstract |
本研究はグルココルチコイドレセプターGRにフォーカスしてその制御分子、標的遺伝子、そしてそれらの機能的相互関係を骨格筋をモデルに明らかにすることをめざした。とくに、骨格筋の量的質的制御と生体代謝調節に関わる側面を中心に解析をすすめた。これまでの成果は下記のごとくである。 1.GR機能制御に関わる因子としてセリンスレオニンキナーゼmTORを同定した。その制御機構を解析した結果、mTORのリン酸化、すなわち活性化によりGRの標的遺伝子DNAへの結合が厳弱することが分かった。その際、少なくとも複数の異なった配列を有するプロモーターに対しても同様の制御がかかることから、mTORの働きは標的DNAではなくGRそのものである可能性が大きいと考えられた。2.骨格筋におけるGR標的遺伝子としてKLF15、REDD1、FOXO3などを同定し、GRによる転写制御機構を解明した。KLF15はタンパク分解とアミノ酸利用の阻害、FoxOはタンパク分解、REDD1はmTOR活性化阻害、に関わっていることが分かった。さらに、KLF15はFOXO3と協調的にatrogin-1、MuRF1などの遺伝子発現を制御することが分かった。3.mTOR活性化療法として分岐鎖アミノ酸BCAAの経口投与を行うこととし、その標準化を試みた。また、ステロイド服用膠原病患者を対象としたBCAA療法のプロトコルを作成した。かかる臨床試験は2013年4月に開始された。4.GR-mTOR複合体の構成成分を解明すべく質量分析法によって検討した。5.骨格筋特異的GR遺伝子破壊マウスを作成し表現型を解析した:骨格筋は20%増、脂肪組織は著減していた。耐糖能が向上していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GR遺伝子破壊マウスの作出と解析が予定どおり進展していることは特筆される。その一方、GR-mTOR複合体の構成成分解析に難航しており、全体としては「おおむね順調に進展している」と評価される。
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Strategy for Future Research Activity |
質量分析の専門家に助言を求める。
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