2012 Fiscal Year Annual Research Report
造血器腫瘍におけるTET2遺伝子異常とエピジェネティック制御の解析
Project/Area Number |
24390241
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
千葉 滋 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60212049)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エピジェネティック / 造血器腫瘍 / TET2 / シトシン / メチル化 |
Research Abstract |
TET2は、造血器腫瘍で最も高頻度に変異が認められる遺伝子の一つである。TET2にコードされる蛋白は、メチル化シトシンをヒドロキシメチル化シトシンに変換する酵素である。血管免疫芽球性丁細胞性リンパ腫(AITL)は、末梢性T細胞性リンパ腫(PTCL)の主要な一群であり、高齢者で頻度が高い難治性疾患で、過去にTET2,遺伝子変異が報告されている。我々は70例のAITLを含む150例のPTCL由来DNAについて、TET2,全エクソンのシークエンス解析を行った。その結果、AITLの83%のケースで変異を同定した。この変具頻度は過去の報告(33-47%)より顕著に高い。これは、AITLでは腫瘍細胞比率が低く、過去の報告で用いられたサンガー方では検出率が低かったのに対し、我々はディープ・シークエンスによって低い変異アレル頻度のケースも検出したことによると考えられる。 一方、7bmoノックダウン・マウスを解析したところ、週齢が進むにつれて脾臓で濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)が増加し、70%以上のマウスが60週齢以降にPTCL様の腫瘍を発症した。この腫瘍はCD4陽性PD1陽性CXCR5陽性であり、Tfh類似の形質であった。AITLの正常カウンターパートはTthであるとされていることから、71eceのノックダウン・マウスはヒトのTfh由来腫瘍を模倣していると推察された。検討の結果、Tbt2機能低下によりBcl6制御領域のメチル化が亢進し、これによってBcl6発現レベルが上昇し、Tfh分化が進行すると推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
リンパ腫におけるシークエンス解析結果は、予想を超えて高い頻度で血管免疫芽球性T細胞性リンパ腫とTET2遺伝子変異との強い相関関係を示した。また遺伝子改変マウスの解析も計画以上に進行し、ヒト疾患に類似の形質が観察された。さらに、kt2機能低下、エピジェネティック制御異常、疾患発症の間の関連についての解析も、計画以上に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
Tet2ノックダウン・マウスにおいて、網羅的なエピゲノム変化を調べる。一方、さまざまな造血器腫瘍でTET2変異が生じていることから、T細胞性リンパ腫発症のためにはTET2,変異以外のゲノム異常が生じている可能性が考えら、この同定を目指す。
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Research Products
(6 results)