2013 Fiscal Year Annual Research Report
抗血栓性因子プロテインSとADAMTS13の研究を通した血栓症と血管障害症の解明
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24390250
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
宮田 敏行 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (90183970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小亀 浩市 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (40270730)
秋山 正志 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (30298179)
坂野 史明 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 研究員 (00373514)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 凝固制御因子 / 血小板 / プロテインS / ADAMTS13 / 血栓症 |
Research Abstract |
私達は、プロテインS K196E変異が、静脈血栓塞栓症の遺伝的リスクであることを報告した。本研究では、プロテインS K196E変異体の簡便な測定系を開発し、変異保有者の同定を行ことを目的とした。前年度から、プロテインS K196E変異体を特異的に認識する単クローン抗体の作成を進め、今年度は変異Glu残基を含むペプチドに対する単クローン抗体の作製に成功した。すなわち、単クローン抗体をスクリーニングし、野生型Lys残基を含むペプチドには反応しない変異Glu残基特異的単クローン抗体3種を見いだした。次いで、血漿中のプロテインS K196E変異体の簡便な測定系を確立するため、変異特異的単クローン抗体を用いたELISA系の構築に取り組んでいる。このため、まず組み換えプロテインS K196E変異体をCHO細胞で発現させ精製した。3種の単クローン抗体は変性条件下ではプロテインS K196E変異体を強く認識するものの、生理的な条件下では結合が弱いことが判明した。現在、条件を検討している。 私達はADAMTS13遺伝子欠損マウスを作製しその血栓能を検討してきたが、今年度は電気通電による内皮細胞障害を伴う深部静脈血栓症モデルを用いて検討した。マウス下大静脈にステンレス電極を挿入して100μA・10分間通電した。電極の電気分解の結果生じるフリーラジカルにより、血管内皮細胞が活性化し、血栓形成が誘発される。生じる血栓が最大となる処置2日目に下大静脈内血栓を取り出し、その重量を測定した。ADAMTS13遺伝子欠損マウスの血栓重量は、野生型マウスより重い傾向を示したが有意差は見られなかった。 ADAMTS13のMDTCS領域の結晶構造解析のため、組み換えタンパク質を大量に調製した。単クローン抗体のFab断片との複合体の結晶化を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
静脈血栓症の遺伝的リスクであるプロテインS K196E変異体の簡便な測定系の開発のため、変異特異的単クローン抗体(3種)の作成に成功した。静脈血栓の形成機構の最近の研究から、静脈血栓はフィブリンに加え血小板も関わることが明らかになってきた。今回、静脈血栓における血小板の関与を明らかにするため、ADAMTS13遺伝子欠損マウスを深部静脈血栓症モデルで血栓能を評価した。また、結晶化を目指してADAMTS13のMDTCS領域の大量調製を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に作製したプロテインS K196E変異体特異的単クローン抗体を用いて、血漿中の変異体の簡便な測定系の確立を行う。すなわち、この単クローン抗体とポリクローナル抗体を用いてサンドイッチELISA系を組み、血漿中のプロテインS K196E変異体の定量システムを確立する。本法が確立すると、遺伝子を調べることなく、プロテインS K196E変異の有無を調べることが可能になる。プロテインS K196E変異ノックインマウスとプロテインS遺伝子欠損マウスでは、血管構築の異常による血管透過性の亢進などが考えられる。プロテインS遺伝子改変マウスの血液脳関門の機能を検査するため、中大脳動脈の閉塞後再灌流を行い、蛍光標識されたデキストランなどの低分子化合物を静注し、その漏出を2光子顕微鏡などで観察する。ADAMTS13の活性触媒領域を含むMDTCS領域や基質であるフォンビルブランド因子との相互作用部位を含むCUB領域の立体構造の解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究はおおむね順調に進展し、当初の予定通りにプロテインS K196E変異に特異的な単クローン抗体の作製や、ADAMTS13 KOマウスの静脈血栓モデルでの解析などを進める事ができた。この間プラスティック製品や試薬などの消耗品の節約に努め、年度末には経費を次年度に持ち越すことができた。次年度に持ち越した研究経費は、遺伝子改変マウスの血管障害を調べるために行う組織染色(外注)などに有効に使用する予定である 血漿中のプロテインS K196E変異体に対するサンドイッチELISA系を組み立てるため、消耗品を購入する。国立循環器病研究センターで進行中の血栓症の研究に参加し、そこで収集される血漿を対象にELISAを行い、プロテインS K196E変異の有無を検討する。遺伝子改変マウスの微小循環系の可視化を通して血管透過性を調べ、血管障害を調べる。また、血管の組織染色を行う。組織染色は専門の業者に外注する予定である。ADAMTS13立体構造の決定のため、各種の組み換えタンパク質を発現する。こういった実験に必要な消耗品を購入する。情報収集・研究結果の発表のため、国内学会の旅費を支出する。複数の遺伝子改変マウスの維持と管理に研究費を支出する。
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[Journal Article] Analysis of genetic and predisposing factors in Japanese patients with atypical hemolytic uremic syndrome.2013
Author(s)
Fan X, Yoshida Y, Honda S, Matsumoto M, Sawada Y, Hattori M, Hisanaga S, Hiwa R, Nakamura F, Tomomori M, Miyagawa S, Fujimaru R, Yamada H, Sawai T, Ikeda Y, Iwata N, Uemura O, Matsukuma E, Aizawa Y, Harada H, Wada H, Ishikawa E, Ashida A, Nangaku M, Miyata T, Fujimura Y
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Journal Title
Mol Immunol
Volume: 54
Pages: 238-246
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Long term follow up of congenital thrombotic thrombocytopenic purpura (Upshaw-Schulman syndrome) on hemodialysis for 19 years: a case report.2013
Author(s)
Mise K, Ubara Y, Matsumoto M, Sumida K, Hiramatsu R, Hasegawa E, Yamanouchi M, Hayami N, Suwabe T, Hoshino J, Sawa N, Ohashi K, Kokame K, Miyata T, Fujimura Y, Takaichi K
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Journal Title
BMC Nephrol
Volume: 14
Pages: 156
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Protein S K196E mutation, a genetic risk factor venous thromboembolism, is limited to Japanese.2013
Author(s)
Liu W, Yin T, Okuda H, Harada KH, Li Y, Xu B, Yang J, Wang H, Fan X, Koizumi A, Miyata T
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Journal Title
Thromb Res
Volume: 132
Pages: 314-315
DOI
Peer Reviewed
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