2012 Fiscal Year Annual Research Report
自己抗体産生を抑制するEgr2発現制御性T細胞のマウス、ヒト双方向性の解析
Project/Area Number |
24390252
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤尾 圭志 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師(病院) (70401114)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 / JAKキナーゼ / STAT / 抗体産生 / 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
本研究では(1)LAG3Treg機能に重要なEgr2の誘導機構、(2)LAG3Tregの抗体産生抑制機構、(3)ヒトLAG3Tregの機能、の解析を目的としている。まずサイトカインIL-27によるEgr2誘導におけるSTATの関与を検討した。STAT1欠損マウス及びT細胞特異的STAT3欠損マウスのCD4陽性T細胞をIL-27で刺激すると、STAT1欠損ではEgr2の誘導は低下しなかったが、STAT3欠損では低下した。さらにT細胞特異的STAT3欠損マウス脾臓では、LAG3negがほとんど見られなかった。このことからEgr2およびLAG3Tregの誘導にSTAT3が必須であることが判明した。そしてEgr2欠損CD4陽性T細胞ではIL27刺激時にIFN-γとIL-17の産生が亢進しており、Egr2はT細胞の炎症性サイトカイン産生も抑制していることが明らかとなった。またJAK阻害薬tofacitinibはLAG3Tregに類似したCD4陽性Egr2陽性PD-L1陽性T細胞を誘導するが、このCD4陽性Egr2陽性PD-L1陽性T細胞をSLEモデルマウスNZBIWF1マウスに移入すると、抗2本鎖DNA抗体産生が抑制され、さらに腎炎が改善することが判明した。この結果からEgr2とPD-L1の発現誘導と、抗体産生および全身性自己免疫疾患の抑制の関連が示唆された。Egr2はIL-17発現、Th17細胞分化およびFollicular helper T(TFH)細胞分化に重要な転写因子Batfに結合し、Batfの機能を阻害することが報告されている。ここまでの成果により、Egr2の発現誘導によりT細胞自身の炎症性サイトカイン産生が抑制されるとともに、Egr2が高発現する場合には抗体産生を抑制する制御性のCD4陽性T細胞に分化誘導されることが明らかとなった。すなわち、Egr2誘導が自己免疫疾患に対する治療戦略の一つになりうることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ここまでの研究で、Egr2の発現誘導によりT細胞自身の炎症性サイトカイン産生が抑制されるとともに、Egr2が高発現する場合には抗体産生を抑制する制御性のCD4陽性T細胞に分化誘導されることを明らかにできた。この結果はEgr2誘導が自己免疫疾患に対する治療戦略の一つになりうることを示しており、今後の研究の方向性を支持する結果が得られたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はLAG3Tregの抗体産生抑制の分子機構を解明する。特にEgr2に制御される抑制性分子に着目して次世代シークエンスによる解析を行う。またヒトLAG3Tregの機能解析を進め、マウスLAG3Tregとの差異やヒト自己免疫疾患患者における修飾について検索する。これらの知見を組み合わせて、ヒト自己免疫疾患の発症メカニズムの一端を明らかにして、新規治療戦略開発の基盤とする。
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Research Products
(7 results)