2013 Fiscal Year Annual Research Report
ILー33と好塩基球によるアレルギー性鼻炎病態形成に関する研究
Project/Area Number |
24390253
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
善本 知広 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60241171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 一史 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (20581549)
安田 好文 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50333539)
松本 真琴 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (40380521)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アレルギー性鼻炎 / IL-33 / 好塩基球 / 好酸球 / 花粉 / モデルマウス |
Research Abstract |
本年度は、アレルギー性鼻炎(AR)の病態;早期相(くしゃみ)と遅発相(鼻粘膜への好酸球浸潤)に「IL-33と好塩基球」が関与することを明らかにする目的で、以下のことを検討した。 1. 好塩基球欠損マウスを用いたAR発症の検討:あらかじめ抗FcεR1抗体を腹腔内投与して生体内から好塩基球除去したBALB/cマウスにブタクサ花粉を点鼻した。その結果、正常コントロールマウスに比較して、好塩基球欠損マウスではRW点鼻後のくしゃみ回数、血清RW特異的IgE値とTh2サイトカイン産生と、鼻粘膜への好酸球浸潤も著明に低下した。 2. AR発症における鼻粘膜好塩基球の動態の検討: ブタクサ花粉で免疫した正常マウスにブタクサ花粉点鼻後、経時的に鼻粘膜への好塩基球浸潤をマウス好塩基球特異的モノクローナル抗体(TUG8)による免疫染色法で検討した。その結果、点鼻後経時的に鼻粘膜への好塩基球の集積が増加し、12時間をピークに増減した。一方、無処置正常マウスにRWを点鼻しても好塩基球の集積増加は認められなかった。さらに、RWで免疫したIL-33欠損マウスに同様の実験を行った結果、正常マウス比較して好塩基球の集積増加は約1/3と著明に低下した。以上の結果から、RW免疫で生体内に誘導されるTh2免疫応答とRW点鼻によって鼻粘膜から産生されるIL-33が好塩基球の集積に必須であることが判明した。 3. AR発症におけるIL-33ー好塩基球の病因的役割の検討: IL-33刺激を受けた好塩基球とマスト細胞からのヒスタミン産生と好酸球/好塩基球遊走因子産生を検討した。その結果、FcεRIで架橋されたマスト細胞はIL-33濃度依存的にヒスタミン産生を増強するのに対し、好塩基球からのヒスタミン産生はIL-33刺激で増強しなかった。さらに、好塩基球とマスト細胞はFcεRIの架橋とIL-33で刺激されるとIL-13、eotaxin、RANTES(好酸球遊走因子)とMCP-1、MIP-1α(好塩基球遊走因子)を著明に産生した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アレルギー性鼻炎の発症に好塩基球が関与するか否かは以前から議論の的であった。本研究で、鼻粘膜に好塩基球がIL-33依存的に集積・増加し、この好塩基球がアレルギー性鼻炎の発症に必須の細胞であることを明らかにしたことは、非常に大きさ成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、IL-33または好塩基球を標的とした新規治療法を開発する目的で、本ARモデルマウスの発症を抑制する抗体・阻害剤をスクリーニングする。更に、ヒトAR患者の鼻粘膜・鼻汁のIL-33発現を検討し、IL-33を指標としたAR新規診断法の基盤を創る。 1. IL-33阻害剤はAR発症を抑制するか?: IL-33阻害剤として、1)デコイIL-33R蛋白(human ST2-Fc chimera)、2)IL-33R抗体をRWと共にRW免疫マウスに点鼻し、AR発症を抑制するか検討する。 2. 抗アレルギー薬によるAR発症の抑制は?:既存の抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬またはステロイド点鼻薬を投与し、RW点鼻によるAR発症を抑制するか検討する。 3. ヒトAR患者の鼻粘膜IL-33発現は?:1) AR患者(季節性)の鼻粘膜IL-33発現を、1抗ヒトIL-33抗体(当教室で既に樹立している)を用いた免疫染色法とRT-PCR法で検討する。更に、2) AR患者にアレルゲン曝露前後の鼻粘膜(RT-PCR法)と鼻汁中(ELISA法)でIL-33発現を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に実施した実験で、使用したマウス匹数が予定より少なく研究を完了できたため。また、使用した生体内投与に用いた抗体の費用が概算より幾分安く購入できたためである。 次年度のサイトカイン測定キットの購入と、成果発表の為の学会参加費に使用する予定である。
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Research Products
(26 results)